【企業版ふるさと納税コンサルタントに聞く】経済的利益供与について考える② 契約、ネーミングライツ、施設利用
2022-01-14 08:00:00
「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業に関するQ&A」が改訂されました。そこでは、契約についての様々な関連事項や、ネーミングライツに関する問答、施設利用についての疑問など、いくつかのテーマについての詳細が取り上げられています。企業版ふるさと納税の寄付に関する経済的な利益の供与についての第2回は、個別のテーマごとの疑問についてのQ&Aを紹介します。
経済的利益の供与についての考え方〜契約関連~
この項では、企業版ふるさと納税の契約全般に関する決まりについて、見ていきたいと思います(「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業に関するQ&A」の該当箇所を掲載しています)。
Q5-2-1、Q5-2-2では、寄付を行った企業を、まち・ひと・しごと創生寄付を活用するしないに関わらず、自治体が行う事業の契約相手とすることは、問題になるかどうか質問されています。
回答(A5-2-1、A5-2-2)としては、法令や条例、規則を遵守した上であれば、基本的には問題ないというものになっています。あくまで、入札・契約上の公正なプロセスを経た上であれば、寄付した企業が寄付活用事業、あるいはそれ以外の事業も含め、自治体が取り扱う事業の契約相手となることは、可能だということです。
反対に、寄付を受けたことを理由にして、自治体が、寄付企業とその他の企業とを別扱いすること、寄付してくれた企業だけを特別扱いすることは禁止されています。例えば、寄付企業以外が応札できないような無理のある条件を付けて競争入札を行う場合などが、それに該当します。
回答(A5-2-1、A5-2-2)としては、法令や条例、規則を遵守した上であれば、基本的には問題ないというものになっています。あくまで、入札・契約上の公正なプロセスを経た上であれば、寄付した企業が寄付活用事業、あるいはそれ以外の事業も含め、自治体が取り扱う事業の契約相手となることは、可能だということです。
反対に、寄付を受けたことを理由にして、自治体が、寄付企業とその他の企業とを別扱いすること、寄付してくれた企業だけを特別扱いすることは禁止されています。例えば、寄付企業以外が応札できないような無理のある条件を付けて競争入札を行う場合などが、それに該当します。
さらにQ5-2-3では、過去または現在において、契約関係がある企業から寄付を受けることができるかどうかについて質問されています。
こちらについての回答(A5-2-3)では、過去に契約していたことや現在に契約していることが、これから寄付を行うことへの代償としての経済的利益の供与にあたるとは考えづらいため、禁止事項には該当しないとされています。ただ、契約関係となる前に企業からの寄付の申し出を受けていた場合、寄付の申し出を行った企業とその他の企業とを区別して扱うことは問題となるので注意が必要です。
こちらについての回答(A5-2-3)では、過去に契約していたことや現在に契約していることが、これから寄付を行うことへの代償としての経済的利益の供与にあたるとは考えづらいため、禁止事項には該当しないとされています。ただ、契約関係となる前に企業からの寄付の申し出を受けていた場合、寄付の申し出を行った企業とその他の企業とを区別して扱うことは問題となるので注意が必要です。
次にQ5-6-1では、寄付を行った企業との間で成立させる様々な行為について、内閣府令が禁止する「寄付を行うことの代償として経済的な利益を供与すること」に該当するかを訊ねています。要約すると、次の行為です。
1.寄付企業が参画する共同企業体などとの契約締結
2.寄付企業に対する出資など
3.寄付企業を指定管理者にすること
4.寄付企業を指定金融機関にすること
こちらはいずれも、A5-2-1と同じ考え方が当てはまり、法令や条例、規則を遵守した上であれば、基本的には問題ないということです。
1.寄付企業が参画する共同企業体などとの契約締結
2.寄付企業に対する出資など
3.寄付企業を指定管理者にすること
4.寄付企業を指定金融機関にすること
こちらはいずれも、A5-2-1と同じ考え方が当てはまり、法令や条例、規則を遵守した上であれば、基本的には問題ないということです。
またQ5-6-2では、自治体が、次に挙げる企業から寄付を受けることについて、問題の有無を確認しています。
1.地方公共団体との契約に基づき履行する共同企業体などに参画している企業
2.出資などの相手方である企業
3.指定管理者である企業
4.指定金融機関である企業
こちらについての回答はA5-2-3と同様で、契約の事実が、今後の寄付の代償としての経済的利益の供与にあたるとは考えづらく、禁止事項には該当しないとされています。
1.地方公共団体との契約に基づき履行する共同企業体などに参画している企業
2.出資などの相手方である企業
3.指定管理者である企業
4.指定金融機関である企業
こちらについての回答はA5-2-3と同様で、契約の事実が、今後の寄付の代償としての経済的利益の供与にあたるとは考えづらく、禁止事項には該当しないとされています。
経済的利益の供与についての考え方〜ネーミングライツ~
スポーツ施設などで知られるようになった、ネーミングライツ契約についても、Q&Aが取り上げています。
まずQ5-3-1では有償のネーミングライツ契約について質問しています。具体的には、寄付を行った企業との間で、企業版ふるさと納税によってできた施設について、有償でのネーミングライツ契約を行った場合、内閣府令が禁止する「寄付を行うことの代償として経済的な利益を供与すること」に該当するかどうかを訊ねています。
これについてA5-3-1では、例えば自治体がネーミングライツ権の選定に際して、寄付を行った企業しか応募できないような条件を設けるなど、寄付を行った企業とその他の企業とを区別して取り扱う場合を除いて、禁止事項には該当しない、寄付企業が有償でネーミングライツ権を得ることは可能だとしています。
またQ5-3-1では、企業版ふるさと納税の寄付事業以外で整備された施設についての、有償でのネーミングライツ契約についても確認しており、こちらも同様に、寄付企業が有償のネーミングライツ契約を行うことは可能としています。
まずQ5-3-1では有償のネーミングライツ契約について質問しています。具体的には、寄付を行った企業との間で、企業版ふるさと納税によってできた施設について、有償でのネーミングライツ契約を行った場合、内閣府令が禁止する「寄付を行うことの代償として経済的な利益を供与すること」に該当するかどうかを訊ねています。
これについてA5-3-1では、例えば自治体がネーミングライツ権の選定に際して、寄付を行った企業しか応募できないような条件を設けるなど、寄付を行った企業とその他の企業とを区別して取り扱う場合を除いて、禁止事項には該当しない、寄付企業が有償でネーミングライツ権を得ることは可能だとしています。
またQ5-3-1では、企業版ふるさと納税の寄付事業以外で整備された施設についての、有償でのネーミングライツ契約についても確認しており、こちらも同様に、寄付企業が有償のネーミングライツ契約を行うことは可能としています。
次にQ5-3-2では、寄付を行った企業との間で、企業版ふるさと納税によってできた施設についての、無償でのネーミングライツ契約について、禁止事項にあたるかどうかを質問しています。
対応するA5-3-2を読むと、この無償のネーミングライツ契約の場合は、特別の理由がない限り、内閣府令が禁止する「寄付を行うことの代償として経済的な利益を供与すること」に該当すると考えられます。これは、企業版ふるさと納税の寄付金が関係しない施設でも、同じ考え方が当てはまるとしています。基本的には、無償のネーミングライツ契約は、問題があると解釈できます。
ネーミングライツ契約は、有償か無償かで、考え方が大きく異なることを理解しておきましょう。ちなみに、ネーミングライツ契約を行った自治体としては、大阪府高槻市の高槻城公園芸術文化劇場の大・小ホールがあり、和歌山県上富田町の取り組みではマラソン大会へのネーミングライツや運営スタッフとしての参画などを期待しています。高槻市、上富田町のプロジェクトはふるさとコネクトで紹介しております。
【大阪府・高槻市】城下町に新たに生まれる「高槻城跡公園 芸術文化劇場」による、街のにぎわいづくり
【和歌山県・上富田町】早春の熊野古道を駆け抜ける「紀州口熊野マラソン」の継続開催
対応するA5-3-2を読むと、この無償のネーミングライツ契約の場合は、特別の理由がない限り、内閣府令が禁止する「寄付を行うことの代償として経済的な利益を供与すること」に該当すると考えられます。これは、企業版ふるさと納税の寄付金が関係しない施設でも、同じ考え方が当てはまるとしています。基本的には、無償のネーミングライツ契約は、問題があると解釈できます。
ネーミングライツ契約は、有償か無償かで、考え方が大きく異なることを理解しておきましょう。ちなみに、ネーミングライツ契約を行った自治体としては、大阪府高槻市の高槻城公園芸術文化劇場の大・小ホールがあり、和歌山県上富田町の取り組みではマラソン大会へのネーミングライツや運営スタッフとしての参画などを期待しています。高槻市、上富田町のプロジェクトはふるさとコネクトで紹介しております。
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【和歌山県・上富田町】早春の熊野古道を駆け抜ける「紀州口熊野マラソン」の継続開催
経済的利益の供与についての考え方〜施設などの利用~
改訂版Q&Aには、企業版ふるさと納税で整備された施設の利用に関する項目の記載もあります。Q5-4では、寄付を行った企業に対し、企業版ふるさと納税を使って整備したサテライトオフィスなどの施設を利用させることは、内閣府令が禁止する「寄付を行うことの代償として経済的な利益を供与すること」に該当するかを訊ねています。
これに対するA5-4では、寄付を行った企業であっても、企業版ふるさと納税でつくった施設を、一般的な使い方で利用する限り問題はない。内閣府令が禁止する「寄付を行うことの代償として経済的な利益を供与すること」には該当しないとしています。
その反面、専属的に利用させる場合や、合理的な理由もなく利用料金を無償にしたり、特別に安い料金で利用させたりするなど、寄付を行った企業とその他の企業とを区別して取り扱う場合は、「経済的な利益を供与すること」に該当するとされています。
次に挙げるプロジェクトでは、施設整備に対する寄付を募集しています。ワーケーション関連の施設が多いですが、これらのプロジェクトに寄付を行った場合も、施設を適切に利用するのであれば問題ありません。ぜひご検討ください。
【静岡県・焼津市】やいづ版ワーケーション推進事業
【鹿児島県・瀬戸内町】世界遺産登録の奄美大島、日本で唯一海峡をもつ瀬戸内町にワーケーションを誘致するプロジェクト
【熊本県・上天草市】ワーケーション推進事業
【岩手県・住田町】仕事・学びの場 創出事業
【茨城県・かすみがうら市】かすみがうら版ワーケーションプラン作成事業 ~幸せな働き方はここにある×場所にとらわれない柔軟な働き方~
【静岡県・南伊豆町】ワーケションプラットフォームを整備
契約関連事項でもネーミングライツ関係でも、施設の利用においても、締結に至るプロセスの公正性や透明性が、強く求められていると理解できます。これは、自治体はもとより、企業に対しても同じ考え方といえます。
また、内閣府令は遵守する必要がある反面、解釈が複雑でわかりづらい決まり事も少なくありません。不明点はそのままにせず、ふるさとコネクトの連携サービスriverなどを利用して、きちんと解決させておくことが得策といえます。
(企業版ふるさと納税コンサルタント 小坪拓也)
これに対するA5-4では、寄付を行った企業であっても、企業版ふるさと納税でつくった施設を、一般的な使い方で利用する限り問題はない。内閣府令が禁止する「寄付を行うことの代償として経済的な利益を供与すること」には該当しないとしています。
その反面、専属的に利用させる場合や、合理的な理由もなく利用料金を無償にしたり、特別に安い料金で利用させたりするなど、寄付を行った企業とその他の企業とを区別して取り扱う場合は、「経済的な利益を供与すること」に該当するとされています。
次に挙げるプロジェクトでは、施設整備に対する寄付を募集しています。ワーケーション関連の施設が多いですが、これらのプロジェクトに寄付を行った場合も、施設を適切に利用するのであれば問題ありません。ぜひご検討ください。
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【静岡県・南伊豆町】ワーケションプラットフォームを整備
契約関連事項でもネーミングライツ関係でも、施設の利用においても、締結に至るプロセスの公正性や透明性が、強く求められていると理解できます。これは、自治体はもとより、企業に対しても同じ考え方といえます。
また、内閣府令は遵守する必要がある反面、解釈が複雑でわかりづらい決まり事も少なくありません。不明点はそのままにせず、ふるさとコネクトの連携サービスriverなどを利用して、きちんと解決させておくことが得策といえます。
(企業版ふるさと納税コンサルタント 小坪拓也)