【寄付先探しのヒント】ウェルネス事業を支援するプロジェクト3選
2022-08-03 08:00:00
ウォーキングする女性達の様子

住民の健康を促進し、健康寿命を延ばすウェルネス事業を進める、3つの自治体の取り組みを紹介します。健康増進によって、人々は年をとっても元気に暮らし、現役として働くことができ、健康面はもとより経済面でも幸福度は高まります。同時に、高齢者医療費の削減という自治体にとっての重要課題の解決にもつながるのがウェルネス事業です。取り上げるそれぞれの事業には、自治体それぞれの工夫がなされています。

【兵庫県・西脇市】運動の習慣化でいつまでも健やかで幸せに「健幸都市・にしわき」の実現

運動をする女性達の様子
兵庫県西脇市は、かつては播州織により、北播磨の商都として栄えました。しかしいまでは少子高齢化が進み、高齢化率は33%を超える超高齢化のまちとなっています。さらに2040年には、人口が現在より約1万人減少し、高齢化率も40.5%に達すると予測されています。医療面においても2020~2025年には後期高齢者が約600人、介護認定者が約100人増える見込みで、これに伴う後期高齢者医療費は約10億円、介護給付費は約1億8,000万円増加すると推計されています。

そこで市は地元医師会など関係機関と連携し、団塊の世代が後期高齢者になる2025年までに市民の健康寿命延伸を図るプロジェクトを立ち上げました。

具体的には科学的根拠に基づき個人に最適化された運動教室や、日々の歩数や健康関連活動をポイントとして付加する事業、身近な人に正しい健康情報を広げるアンバサダーの養成を行い、加齢による虚弱予防や生活習慣病予防に取り組んでいます。

【兵庫県・西脇市】運動の習慣化でいつまでも健やかで幸せに「健幸都市・にしわき」の実現

【北海道・増毛町】高血圧ゼロのまちプロジェクト

「増毛醤油レシピによる試食会」の様子
(写真)食生活減塩化のために開発した町オリジナルの減塩醤油を使った「増毛醤油レシピによる試食会」の様子

北海道増毛町でも、人口減少と少子高齢化が進んでいます。具体的な数字を見ても、2020年度の人口は3,908人で、2010年からの10年間に約1,200人(約23%)減少していることがわかります。また高齢化率は45.2%(2021年1月現在)まで上昇した一方、合計特殊出生率は1.32(2021年厚労省発表)と低水準で、人口の自然減が続いていることもわかっています。

人口減少が続くまちでは、基幹産業の水産加工業や農業を支えるためにも、元気な高齢者の活躍が求められています。

ただ、増毛町は新鮮な魚介類などが購入しやすい環境にあるため、食塩摂取量が多くなりがちことがあり、高血圧を起因とする脳・心疾患の発症者がほかの地域と比べ多いため、元気な高齢者の活躍を可能にするための対策が必要でした。そこで健康診断の実施、血圧測定の促進、運動環境の整備、食生活における減塩化の促進などによって、高血圧を起因とする病気の発症を防ぎ、健康寿命を延ばし、元気に活躍できる高齢者を増やして医療費、介護費の適正化につなげる取り組みを進めています。

【北海道・増毛町】高血圧ゼロのまちプロジェクト

【岡山県・総社市】だれもが安心して住みたくなる総社に

畑の間を歩く女性の様子
岡山県総社市では、若者や働く世代といった、健康への関心が高くない人たちにも健康の大切さを意識してもらうための施策として、歩くことを推奨し、市民の健康維持・増進を応援する「“歩得”健康商品券(歩いて獲得健康商品券)事業」に取り組んでいます。

具体的には、指定の歩数計やスマートフォンアプリを利用して確認した歩数をポイントとして付与し、1ポイント1円として市内の事業所で使える商品券などと交換できる仕組みをつくりました。ポイントは、健康診断や病気検査の受診、市が指定する講座への参加などでも付与されます。

さらに、サイクリングやランニング、ウォーキングコースを新たに設置して気軽に体を動かしやすい環境を整備し、健康づくりへの環境を整えるほか、歩くことや食べることに関する健康情報を紹介するガイドブックも作成する方針で、これらを複合的に進めることで、市民の健康増進を図ります。

【岡山県・総社市】だれもが安心して住みたくなる総社に

市民の健康促進事業は、人口減少対策としても、産業の担い手不足解消の面からも、そして医療費削減の点からも高い効果が期待される事業です。反面、効果を上げるためには継続する必要がある取り組みだけに、企業の協力に必要とされています。
(オフィス・プレチーゾ 桜岡宏太郎)