三笠市は北海道のほぼ中央、空知地方南部に位置し、札幌市街から車で30分、新千歳空港からも車で1時間ほどと交通アクセスも良好です。約1億年前の「生命の痕跡」とされるアンモナイトの化石や、北海道という島の成り立ちを物語る垂直に隆起した地層、5,000万年もの年月をかけて生成された石炭など、地質学的にも貴重な地域です。 当市は、およそ150年前に石炭が発見されてから「炭鉱のまち」として栄えましたが、エネルギー需要の転換とともに鉱山の閉鎖が相次ぎ、一時は6万3,000人を数えた人口も、現在は約7,000人に減少しています。人口減少や高齢化が進むなか、まちの存続と発展を目指し、持続可能な地域づくりへの取組みを進めています。 当市には約7.5億トンの石炭が地下に眠っているといわれており、平成20(2008)年から未利用エネルギーの有効活用を目指し、石炭地下ガス化(UCG)の取組みを推進しています。現在は石炭のほか、同じく地域に豊富に存在する木質バイオマスを組み合わせた低炭素な水素製造事業として、H-UCG(ハイブリッド石炭地下ガス化)事業に取り組んでいます。水素製造時に発生する二酸化炭素(CO2)は、地下に残る石炭採掘跡へ埋め戻すほか、農業などで利用することによって、事業全体でのCO2排出量ゼロを目指すことで、地域資源を活用したエネルギーの地産地消や脱炭素なまちづくり、新たな産業・雇用の創出によるまちの活性化を目的としています。
H-UCG事業に関しては、平成23(2011)年、市が室蘭工業大学と共同で市内の砂子炭鉱(奔別町)鉱区内で実証実験を実施したことから始まります。主な実験としては、平成23(2011)年の砂子炭鉱に始まり、人工的に石炭層を再現したものを利用した実験や、幾春別地区の未採掘の石炭層を利用した実験を行ってきました。令和5(2023)年には、砂子炭鉱の露天掘りが終了した区画において、約20mのボーリングを行い、ガスの生産から水素製造までの実験を実施しました。この間、経済産業省の外郭団体であるNEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)からの採択や、ヤフー株式会社(現LINEヤフー株式会社)の地域カーボンニュートラル促進プロジェクトに選定され、1億円の企業版ふるさと納税による寄附を受領したことで、事業を大きく前進させることができました。 これまでは基礎実験が中心でしたが、事業化に向けた実証実験を行う段階に入っています。そのため、さらなる資金や技術力が必要になります。そこで本事業に関心を寄せる企業から経済的・技術的な協力をいただき、緊密に連携して技術開発を進め、事業化につなげたいと考えています。企業の皆様には寄附を通して当市の豊富な資源やフィールドを活用した研究や低炭素社会に向けた形に残る貢献が可能です。 水素および脱炭素事業は、今後も重要度が高まる注目分野と考えています。新しいエネルギーとして注目される水素の活用や脱炭素社会に向けた当市の取組みに、ご賛同いただける企業を募集しています。
本事業は大きく3つの項目から構成されています。 ①石炭の地下ガス化 三笠市内の地下には未採掘の石炭が大量にあることから、地下の石炭に直接着火し、その熱で周辺の石炭をガス化させる「石炭地下ガス化」を行い、発生したガスを回収し、燃料や水素製造の原材料として利用します。 ②採掘した石炭や木質バイオマスの地上でのガス化 木質バイオマスと、石炭を合わせて炉の中で加熱することで、可燃性ガスを取り出すことができます。なお、木質バイオマスは、CO2を吸収しながら生育するため、燃焼やガス化の際に発生するCO2は大気中のCO2濃度に影響を与えないカーボンニュートラルなエネルギーとされています。 ③取り出したガスからの水素製造 石炭や木質バイオマスをガス化させてできた可燃性ガスに含まれる水素の割合は20%程度ですが、同程度含まれる一酸化炭素(CO)と水蒸気を反応させて水素に転換することで、水素濃度を40~50%にまで増やすことができます。さらに、濃縮・精製などの行程を通して、燃料電池や水素自動車、あるいは水素ボイラなどで利用可能な純度の高い水素を製造します。水素製造時に排出されるCO2は分離・回収し、地下に戻し入れる(CCS/CCUS)、あるいは農業等で利用し、事業全体でのCO2排出量ゼロとなる水素製造を目指します。 CO2の地下戻入れ(地下固定)は、かつての石炭採掘跡にCO2を細かな泡にして水に溶存させた「CO2ウルトラファインバブル水」や、CO2と反応して固化する「CO2スラリー」を圧入し、地下にCO2を貯留・固定します。CO2ウルトラファインバブル水は坑内水より比重が重いので、坑内水の下に潜り込もうとします。また地下に残る石炭はCO2を吸着する性質を持っており、CO2スラリーと反応して地下で固まることから、地上にCO2が漏洩する心配はありません。このように、CO2地下固定を通して、地盤構造の安定化を目指すとともに、脱炭素への貢献を目指しています。 実証の記録映像等は下記URLをご覧ください。 https://www.city.mikasa.hokkaido.jp/hotnews/detail_sp/00014328.html ↑H-UCG事業詳細 https://youtu.be/Jj1PVRBovrg ↑令和6年度 CO2地下固定化実証(動画)
産炭地にあるまちは炭鉱の閉鎖とともに活気を失い、人口減少などの問題に直面しています。これは地域の産業を炭鉱に依存し、観光をはじめとする他分野の産業が育っていなかったことも原因の一つです。産炭地には新しい「何か」が必要であり、石炭という地域資源を活用した新しい産業の創出は、地域活性化に必要不可欠と考えています。 本事業の進展により、プラント視察などを通して交流人口の拡大が見込まれるほか、将来的には水素やCO2の利用による産業の集積にもつなげたいと考えています。 北海道には約150億トンの未利用石炭が眠っているといわれます。当市で誕生した新しい産業は「三笠モデル」として他の産炭地にも広がり、国内全体の利益にも貢献できると考えています。今回の寄附を通して、新しい産業の創出に力を貸してくださる企業の皆様を募集しています。
三笠市は石炭需要の増加とともに発展し、1950年代には人口が6万3,000人を超えたこともありました。しかし、エネルギー需要の転換とともに閉山が相次ぎ、近年は約7,000人まで減少しています。炭鉱の閉鎖によって急速に人口減少や高齢化が進み、まちは活気を失い、そのことがさらに閉塞感を高めてしまっています。 こうした状況は全国の産炭地においても同様であり、それを打破するための取組みが求められています。本事業は、かつて繁栄をもたらした石炭を再び活用することで新しいエネルギーや産業を創出し、来るべき脱炭素社会に対応するものです。本事業の成功は、多くの産炭地に地域の再生をもたらすと考えています。 人口減少や少子高齢化が進む地域の再生には、皆様からの支援が必要です。小さなまちの挑戦に、ぜひ力をお貸しください。 ご支援のほど、よろしくお願いいたします。