宇宙港が北海道大樹町に開港。
民間に開かれた宇宙開発で広がるビジネスと地方創生の可能性
2021-11-30 08:00:00
宇宙へとつながる港「北海道スペースポート(以下、HOSPO)」が、2021年に北海道の大樹町で始動しました。大樹町は現在、人工衛星用ロケットを打ち上げる射場の整備や、特別な打ち上げ設備を必要としないスペースプレーンの離着陸試験を行う滑走路の拡充を推進しています。誰もが宇宙を身近に感じられる未来が、人口約5400人という小さな町で、もうすでに始まっているのです。
2019年には、大樹町を拠点とする民間企業「インターステラテクノロジズ株式会社(以下、IST社)」の観測ロケット「宇宙品質にシフト MOMO3号機(以下、MOMO3号機)」が、民間ロケットとして日本で初めて宇宙空間へ到達しました。大樹町が所有するHOSPOは、アジアで初めてこうした民間企業の宇宙開発の場としても開かれた宇宙港です。「宇宙産業の民間企業が集まる宇宙版シリコンバレーを実現して、北海道全体を活性化させるのが一番の目標です」。大樹町航空宇宙推進室の西尾真也さんはそう語ります。今後、私たちの暮らしを変える革新的な輸送サービス、観光サービス、衛星情報を活用したサービスなどが、HOSPOを起点に北海道から生まれることが期待されます。
(記事内写真:©SPACE COTAN株式会社)
2019年には、大樹町を拠点とする民間企業「インターステラテクノロジズ株式会社(以下、IST社)」の観測ロケット「宇宙品質にシフト MOMO3号機(以下、MOMO3号機)」が、民間ロケットとして日本で初めて宇宙空間へ到達しました。大樹町が所有するHOSPOは、アジアで初めてこうした民間企業の宇宙開発の場としても開かれた宇宙港です。「宇宙産業の民間企業が集まる宇宙版シリコンバレーを実現して、北海道全体を活性化させるのが一番の目標です」。大樹町航空宇宙推進室の西尾真也さんはそう語ります。今後、私たちの暮らしを変える革新的な輸送サービス、観光サービス、衛星情報を活用したサービスなどが、HOSPOを起点に北海道から生まれることが期待されます。
(記事内写真:©SPACE COTAN株式会社)
宇宙港、始動。「アメリカまで40分」の未来はもう始まっている
北海道からアメリカまでの人や物の移動が40分でできるようになったら? そんな夢のような輸送方法が実現しつつあります。宇宙空間を経由して大陸間を移動する二地点間高速輸送が、アメリカでは2020年代の後半には商業化するともいわれています。
HOSPOでも、これまでJAXA、民間企業、大学などが実験で使用してきた1000mの滑走路を1300mに延長し、人と物を運ぶスペースプレーンの試験場として活用することが計画されています。
また、大樹町は将来的に北海道と世界の都市をつなぐスペースプレーンが離着陸する3000mの滑走路をつくることを構想。これが実現すると、北海道を起点に人と物の輸送が劇的に変わります。HOSPOは世界との新たな窓口として大きく発展する可能性があり、そうなれば私たちの暮らしも大きく変わっているはずです。
HOSPOでも、これまでJAXA、民間企業、大学などが実験で使用してきた1000mの滑走路を1300mに延長し、人と物を運ぶスペースプレーンの試験場として活用することが計画されています。
また、大樹町は将来的に北海道と世界の都市をつなぐスペースプレーンが離着陸する3000mの滑走路をつくることを構想。これが実現すると、北海道を起点に人と物の輸送が劇的に変わります。HOSPOは世界との新たな窓口として大きく発展する可能性があり、そうなれば私たちの暮らしも大きく変わっているはずです。
なぜふるさと納税で宇宙港整備を?誰もが参加できる宇宙開発
企業版ふるさと納税や個人からのふるさと納税を活用したロケット射場・滑走路の整備、滑走路などを命名できるネーミングライツパートナーの募集や、クラウドファンディングを活用したロケット開発など、大樹町で行われている宇宙開発は、誰もが参加できる関わりしろがあるのが特徴です。
民間の宇宙開発が活発になった現在、これまで国家主導で行われてきた科学研究分野の宇宙開発にとどまらず、輸送や観光サービスの商業化、衛星を利用した農業・漁業の技術革新など、宇宙開発の裾野が広がり、経済に与える影響もとても大きくなっています。宇宙開発というと単純にロケット開発を思い浮かべますが、衣食住に至るまで様々な産業が宇宙につながっており、あらゆる民間企業が宇宙産業に進出できる可能性があります。
だからこそ、HOSPOは民間に開かれた宇宙港として様々な分野の民間企業や団体の参入を受け入れ、宇宙へ進出する時代を切り開く新たな活力を生み出そうとしているのです。
民間の宇宙開発が活発になった現在、これまで国家主導で行われてきた科学研究分野の宇宙開発にとどまらず、輸送や観光サービスの商業化、衛星を利用した農業・漁業の技術革新など、宇宙開発の裾野が広がり、経済に与える影響もとても大きくなっています。宇宙開発というと単純にロケット開発を思い浮かべますが、衣食住に至るまで様々な産業が宇宙につながっており、あらゆる民間企業が宇宙産業に進出できる可能性があります。
だからこそ、HOSPOは民間に開かれた宇宙港として様々な分野の民間企業や団体の参入を受け入れ、宇宙へ進出する時代を切り開く新たな活力を生み出そうとしているのです。
開かれた宇宙開発が拡げる地方創生の可能性
2019年に行われた観測ロケットMOMO3号機の打ち上げの際には、町の人口約5400人を上回る5734人の観衆が大樹町に集まり、MOMO3号機の無事をみんなで見守りました。また、現在大樹町では町の人口の約2%の人が直接宇宙に関わる仕事をしているそうです。
宇宙開発への関わりしろが大きいということは、それだけ参入する人が多くなるということです。今後も宇宙産業の拡大に伴って大樹町の関係人口が増えて、ホテルやレストラン、スーパーなどの新たな需要が生まれ、町は人口減少から増加へと転じる可能性もあります。
宇宙産業が集積していくことで、現在厳しい状況にある地元の中小企業にとっても大きな影響があります。古くからある中小企業の技術が、宇宙というこれまでになかった領域で新たな価値を見いだされるかもしれないのです。
宇宙産業の市場規模は2040年には100兆円まで拡大するとも予測されています。こうした流れのなかで民間企業が宇宙に関わるビジネスを展開していくことは、大樹町や北海道全体のこれからの発展に大きく貢献することになるでしょう。
宇宙開発への関わりしろが大きいということは、それだけ参入する人が多くなるということです。今後も宇宙産業の拡大に伴って大樹町の関係人口が増えて、ホテルやレストラン、スーパーなどの新たな需要が生まれ、町は人口減少から増加へと転じる可能性もあります。
宇宙産業が集積していくことで、現在厳しい状況にある地元の中小企業にとっても大きな影響があります。古くからある中小企業の技術が、宇宙というこれまでになかった領域で新たな価値を見いだされるかもしれないのです。
宇宙産業の市場規模は2040年には100兆円まで拡大するとも予測されています。こうした流れのなかで民間企業が宇宙に関わるビジネスを展開していくことは、大樹町や北海道全体のこれからの発展に大きく貢献することになるでしょう。
子どもたちが宇宙を身近なものとして夢見る環境がここにある
大樹町で10年以上続いている「スペースイラストコンテスト」。子どもたちの絵に描かれるモチーフは、以前はアメリカのNASAが運用していたスペースシャトルが多かったそうですが、近年は大樹町を拠点にするIST社のロケットがモチーフとして描かれることが多くなっているそうです。IST社のロケットが打ち上げられる際には、まちに応援の気持ちを込めたノボリが立てられたり、IST社の後援会メンバーが車の案内をボランティアで行ったりもしています。大樹町の人たちにとって宇宙は決して遠いものではなく、地元企業を応援する先につながっている身近なものなのです。
最初に大樹町が航空宇宙産業の誘致活動を開始したのが1985年。人材も、お金も、技術もないところからのスタートでした。まちの人たちにとって、宇宙は遠い夢でしかなかったかもしれません。しかし現在では、IST社に就職して宇宙開発に直接関わりたいと望む子どもがまちにいるそうです。「実際にロケットがまちから飛ぶなど、宇宙という夢がリアルに感じられるようになっていると思います」と、大樹町航空宇宙推進室の西尾さん。
民間に開かれた宇宙開発がもたらすものは、単に経済効果だけではありません。ワクワクできる産業がまちにあること、将来に夢や希望をもてること、ふるさとのまちに誇りがもてること、それらは住んでいる人たちにとっては、何よりもうれしい事かもしれません。
【北海道・大樹町】「北海道スペースポート」整備と航空宇宙関連企業支援プロジェクト
最初に大樹町が航空宇宙産業の誘致活動を開始したのが1985年。人材も、お金も、技術もないところからのスタートでした。まちの人たちにとって、宇宙は遠い夢でしかなかったかもしれません。しかし現在では、IST社に就職して宇宙開発に直接関わりたいと望む子どもがまちにいるそうです。「実際にロケットがまちから飛ぶなど、宇宙という夢がリアルに感じられるようになっていると思います」と、大樹町航空宇宙推進室の西尾さん。
民間に開かれた宇宙開発がもたらすものは、単に経済効果だけではありません。ワクワクできる産業がまちにあること、将来に夢や希望をもてること、ふるさとのまちに誇りがもてること、それらは住んでいる人たちにとっては、何よりもうれしい事かもしれません。
【北海道・大樹町】「北海道スペースポート」整備と航空宇宙関連企業支援プロジェクト