【寄付企業に聞く】地元を元気にするお手伝いをしたい~兵庫県・医療法人社団紀洋会~
2022-07-27 08:00:00
田植えをする人々の様子

ふるさとコネクトから寄付を実施した企業に話を聞くシリーズ。今回は、兵庫県丹波篠山市を中心に、病院や介護施設などを運営する医療法人社団紀洋会(=以下紀洋会)です。紀洋会は、丹波市の農業従事者を育成するプロジェクト(=写真上)に寄付を実施。その背景や思いを、法人事務長の中村雅和さんにお聞きしました。

地域の暮らしを医療と介護から支える。地元で完結する医療を目指して

事務長の中村雅和さん(右)と介護保険事業本部部長の軽尾勇さん
(写真)事務長の中村雅和さん(右)と介護保険事業本部部長の軽尾勇さん

「地域に根ざした医療と介護。これが紀洋会を開設した前理事長、岡本信洋の理念です」。中村さんはそう切り出しました。

紀洋会は、地域医療を支える岡本病院や、介護老人保健施設 咲楽荘をはじめとする介護施設などを運営しています。いわば医療と介護の両輪で地域医療・地域介護を支えており、それは前理事長の理念を形にしたものといえます。
岡本病院の外観
紀洋会は、昭和60年(1985)に開設した診療所からスタートしました。平成3年(1991)に医療法人を設立。当初から介護が必要な患者のために職員を雇い、退院・帰宅できる環境が整うまで院内でお世話をしていたといいます。「当時は、介護が必要な家族がいることさえ公にできない風潮でした」と中村さんが振り返るように、要介護者はタブー視されていたような時代。「地方のまちが必要とする病院とは何かを考えた際、高度医療(現在の先進医療)を追求するのではなく、地域で完結できることこそが大切という結論になりました。その答えが介護であり、それが前述の前理事長の理念につながっています」と、中村さんは話します。
花の工作をする老人の様子
そうして介護環境を備えた病院として地域に根付いていきますが、やがて医療のためのベッドが不足するようになり、のちに介護部門を独立させました。こうしていまの紀洋会の土台が完成し、その後は介護部門が大きく飛躍することになります。

地域に寄り添う医療法人。寄付を通してその役割を果たしたい

これまで、地元の史跡の整備事業などに寄付をしたことはあるものの、それ以外では年末の助け合い運動など、常識的な額での寄付しかしてこなかったと中村さんは話します。「まず、地方の医療機関は、特定の自治体に寄付しづらいという事情がありますし、それ以前に寄付を検討できるほどの決算内容ではありませんでした」。今回は思いのほか決算内容がよかったこともあり、地域に還元するために寄付を検討することになったといいます。検討の結果、企業版ふるさと納税を活用することとし、法人の事業所があり、岡本病院の院長の出身地でもある丹波市に寄付することになりました。
歌を楽しむ老人と職員の様子
「先に自治体を決めて、後からプロジェクトを探しました」と中村さん。寄付したプロジェクトは、農業を担う人材を育てる「丹波市立農(みのり)の学校の運営」プロジェクトでした。「我々の母体がある丹波篠山市も農業に支えられているまち。農業はこの地域の生活に密接で親しみのある分野ですし、農業の後継者不足を地域の課題としてときどき耳にしていたこともあります」。

隣の市の農業を支援することで、広い意味で地域の役に立てる。寄付すること自体についても、寄付プロジェクトの選定についても、法人内で異論が出ることはなく、スムーズに承認を得られたといいます。

継続寄付を念頭にプロジェクトを応援。事業の成功が何よりのモチベーションにつながる

職員の集合写真
今回行った丹波市への寄付は、積極的に告知していないと中村さんは話します。それでも、「寄付したまちから通っている職員も多く、彼らは自分の勤め先が社会貢献活動をしていることに少なからず誇りを感じてくれているようです」と中村さんは話します。「PRの効果を期待して寄付した訳ではありませんが、こうして効果を実感できるのはうれしいですね」。

丹波市のプロジェクトに寄付を決めたときから、複数年継続するつもりだったと中村さんは話します。「今回寄付したプロジェクトは、1年限りのものではなく、継続して取り組んでこそ成果が出るプロジェクトといえます。そのため、できる限り寄付を継続し、長いスパンで応援したいと思っています」。
デイサービス施設外観
今回の寄付については、概ね満足しているとしながらも、「寄付の難しいところは、お金を出すだけで実際に事業に携われないところ」と話す中村さん。「プロジェクトがどうなるのかをしっかりと見届けたいですし、その成果によって寄付したことによる満足度も変わってくると思います。半年に1回くらいで構わないので、プロジェクトの進捗などを教えていただけると来年度の寄付へのモチベーションアップにもつながりそうですね」。

地域に根ざし、地域と一緒に成長してきた法人による今回の寄付。そこには、地域への恩返しや、地元に貢献したいという思いがあふれていました。
(日下智幸)

医療法人社団紀洋会

岡本病院の外観
兵庫県丹波篠山市「岡本病院」を運営するほか、丹波篠山市の「介護老人保健施設 咲楽荘」などを拠点に、近隣市などにおいて介護や看護、リハビリなどを行っています。また、デイサービスやグループホームも多数運営しており、この地域の医療と介護を広く請け負っています。
住所:兵庫県丹波篠山市東吹1015-1
電話:079-594-1616
医療法人社団紀洋会

【兵庫県・丹波市】丹波市立農(みのり)の学校の運営