皆春荘は、明治の元勲・山縣有朋が終の棲家とした小田原別邸「古稀庵」の別庵です。 第23代内閣総理大臣清浦奎吾の別宅として明治41年（1908年）に建築され、大正３年（1914年）に南に隣接する山縣有朋の小田原別邸「古稀庵」の別庵として編入されました。山縣有朋の小田原別邸として当時の場所に現存する唯一の建物です。 建物は座敷棟、離れ棟、納戸棟などから構成され、絞り丸太、曲線を用いた垂壁等の数寄屋風建築の特徴を髄所に見ることができます。 庭園は大正２年（1913年）に山縣有朋の所有となった際に築造されたと考えられ、かつて山縣有朋が住まいとしていた東京・椿山荘（現在のホテル椿山荘東京）や京都・無鄰菴の庭園に見られるような水景や、相模湾と箱根山の借景、芝生を擁しており、山縣の自然主義を重視した作庭観がよく表れています。 旧松本剛吉別邸は、大正12年（1923年）の関東大震災後に増改築を経て現在に至る建物で、明治から大正にかけての政治家で山縣有朋とも親交が深く、貴族院議員等を歴任した松本剛吉ゆかりの建物です。後に、所有者が東京府農工銀行頭取の鈴木茂兵衛、日本橋富沢町の反物商の岡田正吉に移るなど、主に政財界人により所有されてきました。 主屋と別棟の茶室、待合等の建物と築山や水景を伴う庭園から構成され、お茶と庭園を楽しむことができる書院風数寄屋造りとなっています。 現在、２施設とも民間事業者による運営でノウハウを活かした情報発信や様々なイベントを実施しています。実際に訪れていただくことで、歴史的価値を広め伝えるとともに周辺施設への回遊性の向上にも取組んでいます。
２施設とも建築後100年を経過していることから定期的な劣化箇所の修繕を行う必要があります。 また隣接する庭園の定期的な剪定を行うなど、毎年の維持管理に要する費用は年間数百万円となります。 将来の世代に着実に引き継ぐために、これらの維持管理費の確保が課題となっています。 そこで、当事業にご賛同いただける企業の皆様にご支援をお願いするものです。
小田原に受け継がれてきた貴重な歴史的建造物は、現代では調達することが困難な貴重な部材を使用している箇所も多く、一度失ってしまうと現在では当時の建築様式と同等の建築は不可能な箇所もあります。 特に、皆春荘の所有者であった山縣有朋は築庭に高い見識を持ち、近代日本庭園の傑作と評される庭園の作庭を指揮するようなガーデンデザイナーとしての一面も兼ね備えていました。 皆春荘の庭園はその作庭観をよく表している貴重な庭園の一つです。官民が一体となって文化財の維持保全に取り組んでいるプロジェクトを見える化することで、文化財保全の気運を作り上げていきたいと思います。 皆様のご支援をお願いいたします。
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