熊本県中央部にある宇城市は、宇土半島の南側から西側にかけて、東西約31.2kmに及ぶ細長いまちです。地域最大の熊本市中心部から南に15kmほどの場所にある旧松橋町が賑わいの中心地であり、不知火地区には美術館や図書館、カフェ、書店などが入る不知火文化プラザがあり、市内外からの多くの人が訪れています。その周囲では果樹などの農業が盛んで、東部にある旧小川町では美しい棚田の風景も見られます。また、宇土半島には、海の中の鳥居で名高い永尾剱神社(えいのおつるぎじんじゃ)などの名所が点在します。 市の西端に位置する三角西港(みすみにしこう)は、2015年に「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産として、世界文化遺産に登録されました。現在も当市の主要な観光施設として年間28万人が訪れています。 三角西港には、石積みの港湾施設や石積みの後方排水路などのほか、明治、大正期に建てられた築100年以上の文化財建造物があります。本プロジェクトでは、約5年間をかけて三角西港の世界遺産及び文化財価値の維持・保全を行い、その上で、今後の活用・啓発を図るものです。
三角西港は2015年に「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産のひとつとして世界遺産に登録されました。これは、幕末期の西洋技術の導入や、その後の国家主導で発展させてきた鉄鋼・製鉄、造船、石炭産業の近代工業化の過程を示す資産としての価値が認められたもので、鹿児島県から岩手県にかけて点在する23資産が登録されています。 三角西港は、年間28万人が訪れる当市を代表する観光地です。同時に、歴史資産を将来につなぐための適切な維持管理が必要で、ほかの構成資産と足並みを揃えた整備も求められています。 本プロジェクトでは、企業版ふるさと納税を活用し、老朽化した施設の整備などを行うとともに、観光地としての価値を高めるための整備を進める意向です。 支援してくださった企業の皆様には、世界遺産を中心に据えた当市のまちづくりにもぜひ参加していただきたいと考えています。また、世界遺産の建物や当市HPに企業名を掲示させていただくなど、企業PRの場としても活用いただければと思います。
三角西港に所在する木造文化財建造物は昭和60年代(1985~89)に一度大規模改修を行っていますが、その後の老朽化が著しく、将来的な保存が困難な状態となりつつあります。また2016年の熊本地震を経験したことから耐震補強や修繕が必要で、来訪者への安心・安全を確保することが求められています。また、石積みの水路では、景観を維持するための除草・浚渫(しゅんせつ)を定期的に行っており、文化財としての価値を維持する活動を続けています。 さらに、現在は充分とはいえない世界遺産としての共通展示を整備します。また、多くの方に三角西港を知っていただき、来訪していただくため、啓発グッズの作成なども行います。 本プロジェクトでは、次の取り組みを予定しています。 【価値の維持保全】 旧三角簡易裁判所の耐震事業 旧宇土郡役所などの修繕 水路の除草及び浚渫 【活用・啓発】 啓発グッズの作成 共通展示 世界遺産登録10周年事業
三角西港は世界遺産であり、また重要文化財に指定されており、建造物も国の有形文化財に登録されているため、建造物の耐震補強や修繕、景観維持などを行ったうえで、活用・啓発をもって歴史遺産としての価値を未来へつなげていく必要があります。 これまでは、国庫補助金なども活用しながら事業を進めてきましたが、補助金だけに頼るわけにもいかず、事業を休止させないためにも外部からの支援を視野に入れた財源の確保が課題になっています。 世界遺産に登録された時点での課題として、ほかの構成資産との共通展示を行うことが求められていますが、思うように整備が進んでいないのが現状です。 本プロジェクトでは、三角西港を世界遺産の名に恥じない歴史遺産として整備を進めます。安定した事業推進のためにも、外部活力としてご支援いただける企業の皆様を募集しています。
昨年度初めて本プロジェクトを実施し、多くの皆様からのご支援をいただきました。心から感謝申し上げます。 頂いた寄付金の一部を、今年度、龍驤館耐震補強工事に充てさせていただきました。おかげさまで、工事も順調に進んでいます。 世界遺産の三角西港は、当市の誇りであるとともに、市の賑わい創出のための重要な観光拠点のひとつとして、大きく期待しているところです。 本プロジェクトでは、老朽化した施設を安心してご覧いただけるよう整備するところから始め、歴史遺産としての魅力が伝わるよう展示施設なども整備する予定です。将来的には、三角西港を活用した観光イベントなどを開催し、ここを拠点に市の観光を盛り上げていきたいとも考えています。 2025年には、世界遺産登録10周年という節目を迎えます。皆様のご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。