高島市は滋賀県の北西部に位置し、日本一大きな湖「琵琶湖」に注ぎ込む水の約1/3を生み出す豊かな水源を有するまちです。古くから、里山と湖に囲まれた豊かな自然とともに育んできた生活スタイルが、いまも色濃く受け継がれる地域も多く、豊かな水と大地に育まれた当市ならではの食文化や、伝統工芸品などの地元特産品が大きな魅力となっています。また当市は、百貨店「髙島屋」創業家ゆかりの地でもあり、全国の皆様からご寄付をいただくふるさと納税では、髙島屋バイヤーが選んだ当市自慢の特産品をお届けしています。 本プロジェクトは、豊かな自然に育まれた特産品や伝統工芸品の魅力を、全国はもとより東アジア地域を中心とした海外へも発信し、人口減少により縮小する販路を世界規模へ拡大することを目指します。 具体的には地域の特産品事業者が中心となり、海外への輸出手続きに関する研修会の開催や、東アジア地域でのテストマーケティングの実施、販売先の嗜好に合わせた特産品のブラッシュアップなどを行ってきました。 さらに今後は、これまでに収集したデータを生かし、具体的な商談、特にBtoBの商談をより積極的に進めていく予定です。
人口減少が進む当市において、地域の商圏縮小に伴い販路が縮小する傾向は強くなっています。 しかしそのような状況でも、当市ならではの地域特性や伝統技術を生かした特産品は、今後も守り続けていく必要があります。 例えば、江戸時代にこの地で生み出された織物「高島ちぢみ」もそのひとつです。風通しが良く、吸湿性と速乾性に優れた織物ですが、国内シェアは縮小する一方でした。 この高島ちぢみづくりを将来に向けて受け継いでいくためには、新たな国内・海外への販路を見出す必要がありました。 同時に、新しい特産品の開発や若手事業者の育成によって、地域経済の活性化を図る狙いも併せ動き始めたのが、本プロジェクトです。 その後、現地の求めに応じて湖魚の加工品なども紹介するようになり、いまでは山の幸、湖の幸、里の幸と、広いジャンルが揃う「オール高島」というスタイルで、15社ほどの企業が参加したチームとして挑戦しています。 ただ、海外でのイベント事業は中間事業者に委託をしていることもあり、参加する事業者の負担が相応に発生することから、企業版ふるさと納税を活用して少しでも事業者と当市の負担を軽減したいと考えています。
本プロジェクトでは、市内の事業者を中心に、金融機関や商工会なども参加するプロジェクトチームを立ち上げ、オール高島として食品や伝統工芸品などの多様な特産品の輸出を目指しています。 また、この取り組みは若手事業者中心で進められており、地域経済の循環のみならず、地域産業や伝統工芸などの事業継承を後押しする取り組みとして進めています。 輸出先については、現時点では香港とシンガポールを想定しており、これまでにテストマーケティングやオンライン商談、当市へのバイヤーの招聘などを行っています。 コロナ禍では現地渡航がかなわず、オンライン商談を余儀なくされましたが、地道に継続してきた甲斐があり、近年では現地催事で300万円を超える売上につながったり、商談成立に至る事例も生まれたりしてきました。これを機に、事業者同士が互いに助け合うことで、チームのモチベーションが一気に高まることも期待されます。 今後は、テストマーケティングの際などに、インバウンド誘客につながるような観光PRを行うなど、物産と観光を両輪に据えた取り組みを進めることで、国内外での当市の認知度を高め、魅力を強く発信していく方針です。
国内外への新たな販路拡大に取り組むにあたり、当市の認知度が高くないため、都市圏や海外とのつながりが弱いという課題があります。 特に第1次産業や伝統産業においては、市外へ特産品を売り出す機会が少なく、地域の魅力を充分に伝えきれていないのが現状です。この点を改善するため、まずは当市の認知度を高める方法を模索しているところです。 さらに、海外での商談成立に向けては、湖魚加工品など食品の食べ方がわからないこともあり、恒常的な取引につながっておらず、コロナ禍を経てオンラインでの販売や商談がますます増えているなか、事業者の高齢化が進んでいることもありオンラインでの対応が困難な事業者も少なくはありません。 今後は、事業者ごとにおける売り方の提案として、現地高級市場や日系高級市場、現地一般市場などターゲットの明確化と競合商品との違いを見せるためのストーリー性を高める対応が必要になると考えています。
滋賀県下でも人口減少や少子高齢化が著しい当市においては、豊かな自然風土により育まれた特産品や、自然との共生のなかで生まれた生活文化を守り続けていくためには、地域経済の活性化が不可欠であり、人・もの・ことを一体的に守り育てていく必要があると考えております。 そのための重要な一歩となる本プロジェクト推進のため、ご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。