総社市は岡山県南西部に位置し、一級河川高梁川の清流と瀬戸内の温和な気候風土に恵まれた、自然豊かなまちです。様々な福祉政策に力を入れていることから子育て世代の転入も多く、市の人口は微増傾向が続いています。 当市では障がい者や外国人、ひとり暮らしの高齢者など、人口の3~5%とされる支援を必要としている方々へのサービスが本当の行政の仕事であるという考えのもと、福祉政策を充実させてきました。 そのなかでも障がい者施策においては、「支援学校を卒業した後の働く場所は総社市が担う」という方針を掲げ、2011年度からの5年間で障がい者1,000人の雇用を目指す、「障がい者千人雇用事業」を実施しました。 1,000人という数字は、取り組み開始の2011年4月1日時点での、市内の障がい者数が約1,000人だったことに由来し、この目標は2017年5月に達成しました。 そこで市は目標数値を1,500人に変更。「千五百人雇用委員会」を立ち上げ、現在、官民協働で取り組んでいます。 ダイバーシティを実現し、あらゆる人々が安心と生きがいをもって暮らせる社会の実現に向け、本事業を進めています。
当市はこれまで、障がい者や高齢者、子育て中の女性など社会的立場の弱い人や支援を必要としている人に寄り添う“福祉先駆都市”として、様々な施策を行ってきました。 このまちづくりが評価され、「住民にやさしいまち」という認識を得たことが、13年連続の人口増という結果に結びついたといえます。 そのなかでも特に、力を入れている福祉施策のひとつが、本事業です。 この重要な施策に対し、企業版ふるさと納税の活用を決めた理由は、予算を補う目的に加えて、「誰も取り残さない社会づくり」を指す、社会的包摂という概念を定着させたい考えもあってのことです。 障がい者が就労し自立するということは、ご家族など周りでお世話をされてきた方も就労できたり、趣味など自分の時間を持てたりすることにつながります。 また、障がい者とともに働く、支援するという仕事が生まれ、ひとりの就労が、何人もの経済活動や生きがいの発見につながり、地域の活性化に結びつくのです。 福祉先駆都市が目指すところは、まちに関係するすべての人々が、生き生きと活躍する元気な社会をつくることです。 当市はいま、そのための仕組みづくりを進めています。
障がい者の1,500人雇用に向けては、官民協働の「障がい者千五百人雇用センター」、国の機関である「ハローワーク総社」と「当市役所」が連携協力し、福祉から就労へという考えのもと、ワンストップの支援を行っています。 ポイントは、それぞれに専門家を配置し、マンツーマンでの細やかな相談・支援を行っていることです。 例えば就労支援のコーディネーターは、個別相談を受け、希望者の特色を考慮しつつハローワークと連携して適した就労先を検討します。就労の可能性が高いと判断した施設や企業に訪問し、どういった準備が必要かなどを何度も打ち合わせして、障がい者が活躍できる環境づくりを行います。 生活支援に力を入れていることも重要な点です。 これまでの相談から、ひとりひとり抱えている問題が違い、仕事のマッチングに加えて生活面でのサポートが重要なことが、改めてわかってきました。 そこで、稼いだお金をどう使うかなど細かな部分も話し合い、自立した生活の実現に向けた計画を一緒に立てています。 ひとりひとりに合わせた丁寧な支援を「共に探していく」ことも、千五百人雇用事業の役割です。
障がい者の雇用が増加するに伴い、平均給与収入が減少する場合があることから、より幅広いジャンルの職種への就労も必要になっています。 一方で、「障がいのある人は集中力が高いうえに丁寧で忍耐力もあるので助かる」という就労先の評価からもわかるように、「障がいのある人は素晴らしい戦力である」という理解を深めることが、雇用をさらに進め、また職種の幅を広げることにつながると考えています。 同時に、今後は起業を含めた活躍にも期待しています。 コロナ禍のマスク不足のころ「困ってる人の役に立ちたい」と、市で働く障がい者が中心になり興した、デニム製マスクを製造販売する「総社デニムマスク実行委員会」はその好例です。 総社デニムマスクは、全国で約39万枚を売るヒット商品に成長。デザインを商標登録し、今では大手通販サイトの取扱いや、個人版ふるさと納税の返礼品に選ばれる地場産品となりました。 ほかにも、プログラミングの能力を発揮する方や人々の心に響く絵を描く方など多方面で活躍する方も多く、社会における障がい者のポジションを変える意味も込め、取り組みを継続していく方針です。
障がい者が「ここで暮らせてよかったな」といえるまち、それが総社市の求めるまちづくりです。 そのためには、教育、社会参加、生活のライフステージのうち、まずは社会参加の就労に注力し、障がい者を1,000人雇⽤することを目標にしました。 障がいのある方の存在は、当市民の心を豊かにしています。そして、会社や学校でも周りを笑顔にする力をもっています。障がい者ひとりひとりが自立し、安心して地域で暮らせる社会の実現は、すべての当市民が安心して暮らせる社会の実現でもあります。 「障がい者千人雇用事業」を達成し、次なるステージの「障がい者千五百人雇用事業」に、皆様の応援をお待ちしております。 ご支援のほど、よろしくお願いいたします。