石川県能登半島の北部ある能登町は、人口約1万6,000人の小さな町です。世界農業遺産「能登の里山里海」に認定された豊かな自然と、集落ごとに継承されてきた神事や伝統文化が色濃く残っています。 当町では能登町創生総合戦略に『人と人の交流を深め、賑わいを創出し、能登町で暮らす「ひと」の流れをつくる』を掲げています。豊かな地域資源を活用し産業振興や地域社会の課題解決を図るため、能登の里山里海がもつ潜在力を理解し生業や集落維持につながる人材育成に取り組んでいます。 ほかの自治体と同様、当町でも人口減・少子高齢化に直面し、町内にかつて存在した3高校1分校は統廃合を繰り返し、2009年には能登高校が町唯一の高校となりました。 1校となった後も生徒数は減少を続け開校当初は4クラスありましたが、定員割れが続き、2クラス80名まで減少、それでも定員を満たすことが困難となり、町から高校がなくなってしまうことが危惧されています。 高校は人材育成の場、地域活動の場、経済活動の場として町には欠かせません。そんな高校を魅力的なものとすることで、生徒が通いたい、保護者が通わせたい高校となることを目指しています。
当町の人口は、昭和25年(1950)の 4万288 人をピークに減少しており、2020年は 1万5,687人(国勢調査結果)まで落ち込み、国立社会保障・人口問題研究所によると、2040年には8,648人、2060年には4,256人に減少すると推計されています。 高齢化率も高まり、若年層が減少したことによって子どもの数が減り、町内唯一の能登高校が廃校となる可能性があります。 学校がなくなると、生徒は中学校を卒業すると他市町へ通うという選択しかなくなります。送迎や通学費用で保護者の負担は増えることになります。また、子どもの学びの選択肢も狭まり、町外への進学を選択せざるをえない状況となり、一家転住の増加が危惧されています。 人口減少が加速する重大な課題であることから、能登高校の存続に向けた取り組みが必要であると考えております。 能登高校魅力化プロジェクトは、こうした取り組みをさらに推進していくもので、地域の人材を地域で育てることを目標とし、町や地域団体が協力して能登高校を盛り立てていくことを狙いとしています。
本プロジェクトは、以下3点を軸に進めています。 1.地域を生かした特色ある授業を展開 学校と地域をつなぐコーディネート機能を担う「魅力化コーディネーター」が授業をサポートする石川県でも珍しい取り組みを行っています。担当の先生と授業設計から話し合い、生徒の学びを広げます。地域の大人の話を聞く機会を多くとり、地域課題解決型の学びにつなげています。 2.公営塾「鳳雛塾」の運営 2014年、校内に、大学入学試験や公務員試験対策講座を無料で受講できる公営塾「鳳雛塾(ほうすうじゅく)」を開設しました。その取り組みを発展させ、当町では、2016年に、町内の小学5年生から能登高校3年生までを対象とする「まちなか鳳雛塾」を校外に開設しました。生徒の自律的な学習を促し、より良い学習環境を提供できたことで、学習意欲・進学ニーズが高まっています。 3.能登高校を応援する会の設立・運営 能登高校が開校した2009年、地域と高校、町が共同で当組織を立ち上げました。町からの補助金と会員からの会費で運営され、生徒や保護者への各種助成事業を行っています。
能登半島には鉄道がなく、高校生は基本的にバスで通学しています。遠方から通う高校生も多く、バスの定期代が高額になるため、町では2割を補助しています。しかし、それでもなお、費用面での負担が多いのが現状です。 頂戴したご寄付は、定期代補助に充て、通学費の負担を軽くできればと考えています。 また、高校のなかにある「鳳雛塾」では、高校生が地域の大人や中学生たちと共に学ぶ課外学習「鳳雛ゼミ」を開催しています。充実した収穫の多いゼミを企画・展開するためには、充分な運営費が必要です。また、塾運営にあたり、整備したICT教材などの導入費用が不足しております。寄付金はそうした費用にも充てたいと考えています。
能登高校は、各学年地域産業科1クラス(3年は地域創造科)、普通科1クラス、全校生徒174名の小さな高校です。2009年に2度目の高校再編統合が行われ、今年で14年目を迎えました。 能登高校魅力化プロジェクトのひとつである、「まちなか鳳雛塾」では小学6年生から高校3年生まで約70名もの生徒が参加し、夜22時まで学習をしています。 まちなか鳳雛塾があるので能登高校に通学を決めた生徒もいます。 また、2020年度、能登高校は内閣府の「高校生の地域留学推進のための高校魅力化支援事業」に採択され、能登高校以外の高校2年生が1年間、能登高校へ留学し、寮生活をしながら能登の里山里海で学び、充実した高校生活を送ることができる「能登高留学」制度を進めています。2022度は定員数である3名が能登高校に留学しており、町内だけでなく、全国へのPRにつながっています。 ぜひ皆様の温かいご支援をよろしくお願いいたします。