浜田市は、島根県西部の中央に位置し、南部は広島県に隣接し北は日本海に面しています。豊かな自然に恵まれており、シロイルカのパフォーマンスで名高い「しまね海洋館アクアス」や約4.9万平方メートルの千畳敷が広がる「石見畳ヶ浦」など、自然を生かした観光資源があります。また、古くから石見地方の政治・文化の中心的役割を担ってきた中核都市で、伝統芸能「石見神楽」が盛んな地域としても知れています。 県内随一の水揚げを誇る山陰浜田港(浜田漁港)では毎日数多くの魚が水揚げされ、全国各地へ出荷されています。しかしながら、人口減少や少子高齢化が進むなか、漁獲量の減少や魚価の低迷、漁船の老朽化、漁業就業者の後継者不足、消費者の魚離れなど、基幹産業である水産業を取り巻く情勢は厳しい状況が続いています。 全国的に魚離れが深刻化するなか、まずは産地での魚食を推進するため、本プロジェクトでは市の魚である「どんちっちノドグロ」を市内の小・中学校の給食に提供します。食を通じて郷土愛を育むとともに、浜田の漁業や浜田産の魚への関心と興味を高めることで、浜田の水産業のイメージアップにつなげ、地産地消や魚食普及を促進します。
魚介類の消費の減少は全国的な課題ですが、当市で小学4年生と中学1年生のいる家庭を対象に2013年と 2016年に実施した「生活習慣・食生活に関するアンケート調査」から、魚介類の摂取頻度の少ない現状が明らかとなっています。 水産のまちとして発展してきた当市の基幹産業である水産業の振興を図るためには、地元漁船団の存続や浜田漁港の取扱量を増やすための外来船(当市外からの漁船)の誘致、魚価の維持・向上のための「山陰浜田港」ブランドの水産物の販路開拓、消費拡大など、地域が一体となった抜本的な対策が必要とされています。 本プロジェクトを通して、次世代を担う地元の子どもたちに、ノドグロをはじめとする浜田漁港の魚介類や水産業の魅力、魚食文化を伝えます。魚の消費低迷に歯止めをかけると同時に、将来的には、水産業の担い手の確保・育成、市の魅力を背景とした定住促進などにもつなげたい考えです。 こうした観点から、特に市内や県内に事業所をもつ企業の皆様からのご支援に期待しています。
どんちっちとは郷土芸能石見神楽の囃子を表現する幼児言葉で、それが転じて石見神楽全体を意味します。「どんちっちノドグロ」は浜田の特選水産ブランドで、アジ、カレイを含む「どんちっち三魚」のひとつです。本プロジェクトでは、市の魚に制定されながら高級魚のため学校給食に提供することができなかった「どんちっちノドグロ」を、市内の小・中学校の最高学年の給食に一尾丸ごと提供します。 事業は、官民の関係機関で構成する「どんちっちノドグロ学校給食推進委員会(仮)」が主体となり実施します。島根県機船底曳網漁業連合会(漁業生産者)が「どんちっちノドグロ」(120g程度)の調達を行います。島根県立浜田水産高等学校食品流通科の学生たちが鱗や内臓除去などの下処理作業を担当し、浜田市学校給食会が「どんちっちノドグロ」給食として調理・提供を行います。 漁業協同組合や行政が各関係機関との調整や給食提供に合わせた出前授業を行うなど、市内の各関係者が一体となって取り組みを推進します。事業は2022年度からの3年間を予定しています。
ノドグロは、水産のまちである当市の魚にも関わらず、食べたことがない家庭が数多くあります。近年急速にノドグロの認知度が高まったこともあり供給不足の状況が続いていますが、地元が誇る魚として子どもたちに味わってもらい、魚を好きになり、食べる割合を増やしてほしいと考えています。 2021年度に同様の取り組みを試験的に実施したところ、学校や児童・生徒、保護者から好評をいただいており、手応えを感じています。また、地元の高校生が下処理作業の工程に携わることで、水産高校に対する興味や親しみが増すという効果もありました。 本プロジェクトにより、食を通じて郷土愛を育むとともに、当市の漁業や浜田産の魚への関心と興味を高めてもらい、市の水産業のイメージアップにもつなげたい考えです。 地産地消や魚食普及、水産業の振興に対してご理解をいただき、ご支援いただける企業の皆様を募集しています。
市の魚に制定されながら高級魚のため学校給食に提供することができなかった「どんちっちノドグロ」。このおいしさを市内の小・中学生に味わってもらい、地元でとれる魚に誇りを感じてほしいと願っています。 当市だけでなく、島根県全体が人口減少という課題に直面しています。県では、県内全ての公立小・中学校で「ふるさと教育」を行っています。これは、地域の魅力を伝えることでふるさとに誇りをもってもらい、将来は県を支えてほしいという思いが込められています。 本プロジェクトも郷土愛を育む大切な事業であり、島根県の、浜田市の、そして水産業の発展にも寄与するものといえます。そして、漁業生産者さんの海上での努力、水産高校のお兄さんお姉さんの真心、給食調理師さんの熱意、寄付をいただく企業の皆様の温かいお気持ちなど、子どもたちには、「どんちっちノドグロ」給食を通じて、たくさんの方々の支えを実感してほしいと考えています。 ご支援のほど、よろしくお願いいたします。