百世の安堵を感じるオーベルジュで地域活性化和歌山県 | 広川町

和歌山県 広川町のプロジェクト概要

本プロジェクトは、江戸時代から製網業を営んでいだ戸田家の邸宅をオーベルジュ(宿泊施設を備えた飲食施設)に改修し、地元産業の持続的な発展や観光・雇用創出を目指すものです。オーベルジュに冠する「百世の安堵(ひゃくせいのあんど)」とは、「築堤の工を起こして、住民百世の安堵を図る」という実業家・濱口梧陵の言葉に由来します。 安政元年(1854)、南海地震による大津波が広村(現在の広川町広地区)を襲いました。この村出身の濱口梧陵は、田の稲むらに火をつけて人々を高台へ導きました。この逸話は、小泉八雲の小説『稲むらの火(原題:A LIVING GOD)』でも有名です。彼はのちに私財を投じて堤防も築いており、その堤防は昭和21年(1946)の昭和南海地震による津波からもまちを守りました。 町には、高台への避難を考えてつくられた大道や、現在の垂直避難を想定した3階建て住宅(東濱口住宅)などが残っています。津波から多くの命を救った濱口梧陵の功績や防災への意識を受け継いできた町の歴史は、2018年に日本遺産「百世の安堵(ひゃくせいのあんど)~津波と復興の記憶が生きる広川の防災遺産~」に認定されました。

なぜ寄付を募るのか

今回、オーベルジュとして整備する「旧戸田家住宅」は、国の登録有形文化財になっている建造物です。通りに面して大正後期建築の主屋、北側に網工場、東側に大座敷が建っています。広川町広地区の伝統的な町並みを代表する建造物であり、日本遺産の構成文化財でもあります。 津波の被害に遭いながらも、海との共存を選び、人々の暮らしを支えてきた歴史ある建造物には、様々な魅力が詰まっています。当町を訪れた人はここに滞在することで、それを存分に感じることができると考えています。 当町と隣接する湯浅町とは、旧戸田家住宅を活用したプロジェクトが始動しています。湯浅町にも日本遺産『「最初の一滴」~醤油醸造の発祥の地 紀州湯浅~』があることから、湯浅駅を「エリア全体の玄関口」とし、重要伝統的建造物群保存地区のある湯浅町エリアを「歴史ある町並みを楽しむエリア」、旧戸田家住宅を活用する広川町を「暮らすように滞在するエリア」と位置づけ、観光誘致に取り組みます。

プロジェクトのポイント

「百世の安堵を感じるオーベルジュ」は、日本遺産に認定されている貴重な文化財に宿泊するものです。滞在中は地域の人たちとのふれあいや山海の幸に恵まれた地元の食材を楽しみながら、町の歴史や文化を体感してもらいます。 赤レンガを敷き詰めた床が特徴的な網工場は、物販施設やレストランとして活用します。また、漆喰で覆われた大きな出格子窓や垂木(たるき)を放射線状に配した小さな庇(ひさし)が特徴的な主屋、瓦ぶきの庇の先端に銅板が使われている大座敷、重厚な扉が装備された蔵など、訪れる人にとって「非日常」でありながらも、古くから続く「町の日常」を感じてもらえる施設にします。 旧戸田家住宅を整備するエリアには、濱口梧陵記念館と津波防災教育センターからなる「稲むらの火の館」や、物販・飲食施設「道あかり」、古民家を改修してカフェ兼テレワーク施設として整備中の「旧浦清兵衛商店」など、多彩な施設があります。 エリア一帯での施設整備を地域の経済発展や特産品のブランド化につなげ、さらに歴史や文化を見直すきっかけとなることで、自然豊かな当町を守っていきたいという気持ちが育まれることにも期待を寄せています。

困りごと・課題

当町の人口は 、昭和55年(1980)の9,178人をピークに減少傾向にあり、2020年4月には6,910 人となっています。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2060年には3,989人にまで減少するとされています。 2022年4月には過疎地域に指定されたことに加え、耕作放棄地や放置空き家の増加といった問題にも悩まされています。特に空き家問題が深刻化しており、放置された家屋が倒壊して道が塞がってしまったこともあります。こうした問題が、これまで何度も災害を乗り越えてきた町の姿を変えつつあります。 また、地元に高校や大学がなく、働ける場所がないという理由から地元を離れ、都心部へ移住していく若者が多いことも課題となっています。

メッセージ

「百世の安堵を感じるオーベルジュ」は、2024年4月以降のオープンを目指し計画を進めています。町に賑わいをもたらす施策として、町民の期待も高まっています。 また、当町と同じく日本遺産を有する湯浅町との観光推進事業として、西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)和歌山支社とともに「湯浅・広川えきからワクワク検討委員会」を立ち上げ、スタンプラリーやSNSを活用したフォトコンテストなど、様々な観光施策を打ち出しています。 かつて津波から村を救った濱口梧陵は、今も町民から「梧陵さん」と呼ばれ親しまれています。町では津波で亡くなった人々の霊を慰め、堤防を築いた濱口梧陵の功績を偲ぶ「津浪祭」を開催しているほか、「稲むらの火の館」で稲むらの火について学ぶことができ、防災意識を受け継いでいます。 広川町が抱えている課題を解決するためには、観光需要の掘り起こしによる地域活性化や特産品のブランド化、雇用創出、地域経済の発展が重要な鍵を握っています。 町を離れた子どもたちが「戻ってきたい!」と思うまちづくりに、皆様のお力をお貸しください。

現在の寄付額
200,000
目標金額:100,000,000
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寄付件数
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