焼津市は静岡県の中央部に位置し、北は遠くに富士山を望み、東には駿河湾、西南には志太(しだ)平野が広がっています。年間平均気温は16.5度で、雪が降ることはほとんどない温暖な気候に恵まれています。 当市では、若い世代が安心して結婚・出産・子育てができるまちづくりに取り組んでおり、その一環として2021年7月に「ターントクルこども館」がオープンしました。「ターントクル」とは、焼津市周辺の方言で「人がたくさんくる」という意味で、「多くの来場者でにぎわう施設となってほしい」という願いが込められています。 施設は、1階と中2階のこども図書館「やいづえほんと」、2階と3階の「焼津おもちゃ美術館」からなり、館内にはハンモックや穴ぐらなど、ユニークなしかけを施しています。 ここに「集い」「遊び」「学び」の機能を集約し、地域に暮らす子どもを中心に、幅広い世代の人々が交流する「子育て支援拠点」となることを目指しています。
「第2期焼津市子ども・子育て支援事業計画」の策定にあたり、市民にアンケート調査を行ったところ、「子育て支援に関連するサービスや施設をもっと充実させてほしい」「公園など子どもの遊び場が不足している」といった回答が全体の50%以上ありました。ほかにも、近隣市にあるような複合遊具を備えた「こども館」の設置を求める声が多くありました。 当市が運営する子育て支援施設は、大井川地区に児童館が1カ所、焼津地区に子育て支援センターが2カ所あります。しかし、いずれも多くの人が利用できる機能が十分に整っておらず、利用者は乳幼児とその保護者が中心となっています。 核家族化とともに、親世代は子育ての負担が増える一方、地域社会で子どもを育てる意識はあまり高まっていません。このような状況の中、地域全体で子育て世代をサポートしていくには、すべての住民が現状を認識し、多世代で情報共有できる居場所をつくることが必要です。
本プロジェクトは「ターントクルこども館」を拠点に、以下の事業を進めています。 1.「ターントクルこども館」周辺の活性化 「ターントクルこども館」に市内外から多くの人が訪れることで、焼津駅から、YAIZU PORTERS、新庁舎展望台、深層水ミュージアム、アクアス焼津等新港などの公共施設への誘客を促進し、相互の利用促進を図ることで、「ターントクルこども館」の周辺地域の活性化と観光促進を図ります。 2.”市民立”ミュージアム&ライブラリー 「ターントクルこども館」開館当初3年間は、市の主導で運営・管理し、将来的には市民が自主性をもって運営していくことを目指し、「おもちゃ学芸員・えほんとサポーター養成講座」やワークショップを開催し、管理運営を担う人材育成を進めてきました。そして令和6年4月から運営人材が中心となって設立した法人が、指定管理者として管理運営を担っています。 3.イベントの開催 「出張おもちゃ美術館」の開催を検討しています。これは、こども館に収蔵しているおもちゃを展示し、子どもたちが自由に遊べるイベントです。将来的には、市内外の地域交流センターや公園などでの開催もしていきたいと考えています。
感染症の拡大防止のため、使用したおもちゃや絵本は頻繁に消毒します。そのため、この作業にかなりの労力と時間を割かれてしまっています。 特に木のおもちゃは、維持管理が課題となっています。木でできたおもちゃは傷みやすく、丁寧に扱う必要があります。また、人気のおもちゃや絵本はたくさんの子どもが触れるため壊れやすく、頻繁に修理や買替えが発生します。
既存の児童館とは異なり、子どもから高齢者まで、みんなが集う場所をつくりたいー。 そんな想いから、「ターントクルこども館」の構想がスタートしました。 この施設には、県内産の木材が使われています。また、館内には木で作られた船の遊具を設置した「木のおおうなばら」や、木製の卵が敷き詰められた「たまごプール」など、木のぬくもりが感じられる仕掛けがたくさんあります。ヒノキの優しい香りに包まれ、ほっと安らげる空間づくりがなされています。 子どものころから木を身近に感じることで、人と木、森との関わりを考えられる豊かな心を育てる「木育」を進めてまいります。 当市の取組みに、お力添えいただけますと幸いです。