「輪島朝市」で名高い輪島市は、能登半島の北西部に位置しています。輪島地区には、古墳時代から奈良時代にかけて大陸からさまざまな文化が伝えられ、江戸時代に入ると北前船の主要寄港地として「親の湊」とよばれる海上交通の要所として栄えました。 江戸中期以降は漆器業が盛んになり、「輪島塗」は日本を代表する漆器として海外からも高く評価されています。また、門前地区は鎌倉時代に開かれた曹洞宗の大本山・總持寺を中心に、永きにわたって門前町として栄えてきました。 このように、豊かで多様な自然・歴史・文化を有していることから、輪島市をはじめとする能登地域は「能登の里山里海」として、2011(平成23)年に国連食糧農業機関(FAO)より「世界農業遺産」に認定されました。 当市では、輪島塗に代表される豊かな地域資源を活用し、関係団体と連携して創意工夫や今日的な付加価値をつけることで、地域の産業振興や雇用創出等につなげていきたいと考えています。
当市の産業は、人口減少等の影響から、どの分野においてもかつての勢いは見られません。このような状況が続くと、「地域経済の縮小が人口減少を加速させる」という負のスパイラルに陥る可能性が高まると考えられます。 漆器産業を含む製造業においても、人材不足や後継者不足が懸念されています。製造業の従事者は8割以上が40歳以上であり、技術や技能を受け継ぐ若者の割合が低くなっています。 このような状況は、伝統的な技術の継承だけでなく、企業の存続にも関わる課題といえます。負のスパイラルを断ち切るためには、さらなる産業振興と雇用創出につながる取組みが急務となっています。
当市では4つの基本目標を定め、着実に実行していくことで、産業振興と少子高齢化の抑制に取り組み、市民力による「まち・ひと・しごと」づくりを推進します。 1.輪島の魅力を生かした雇用の創出 2.住みたくなるまちづくり 3.結婚・子育ての希望をかなえる環境づくり 4.自然と暮らしを守るまちづくり 豊かな自然と人々の暮らしが共存する当市は、世界農業遺産「能登の里山里海」の中心地です。産業振興事業の一例としては、「白米千枚田(しろよねせんまいだ)」の整備が挙げられます。 これは白米町にある日本海に面した棚田で、いくつもの小さな田んぼが海岸まで続く絶景は「日本の原風景」とも称され、奥能登を代表する観光スポットとして親しまれています。 また、昔ながらの農法が現在も行われていることから文化的価値も高く、「日本の棚田百選」や国の名勝に指定されています。 白米千枚田では、収穫後のあぜ道に太陽光LEDを設置し、「あぜのきらめき」というイルミネーションイベントを行っています。このような取組みを通して環境負荷の軽減や健全な里山保全を進め、さらに観光振興につなげていきます。
当市は「世界農業遺産」に認定された風光明媚なまちであり、世界に誇る伝統工芸「輪島塗」の故郷、曹洞宗の大本山・總持寺を有する門前町など、さまざまな輝きに満ちています。 当市及び周辺市町で策定した地域再生計画では、目指す将来像として「“あい”の風がはぐくむ 快適・活気・夢のまち」を掲げています。その実現に向けて、宿泊施設の魅力向上や外国人観光客への対応強化、「輪島の食」などの魅力発信による観光産業の振興に取り組んでいます。さらに、輪島塗の後継者など伝統文化を継承する人づくり、高齢者福祉の充実、交通ネットワークの拡充、移住定住対策の推進など、さまざまな分野で施策に取り組んでまいります。 当市が抱えるさまざまな課題への取組みを、さらなる飛躍と発展につなげ、いつまでも輝き続ける魅力あるまちづくりを進めます。ご支援のほど、よろしくお願いいたします。