熊本県高森町は、「人口減少を本格的に迎える局面」であることを念頭に置き、小さい町だからこそ必要な施策と捉え、2011年から情報通信整備の検討を始めました。2013年には個人負担なく、町内全ての住宅・事業所・施設にインターネットとケーブルテレビの回線が引かれる、全国でもあまり例を見ない取組を実施しました。 情報通信基盤が整備されたことにより、2014年からは学校のICT化に着手。全国に先立ち、文部科学省が推進しているGIGAスクール構想の理念に沿って町内全小中学生へ1人1台のタブレット導入が完了しています。ICT教育は、導入から活用へと既に次の段階に進んでいます。 今後は学習アプリや教材(書籍)の充実、外部セミナーやオンライン教育現場の見学などを実施し、利用可能なコンテンツを拡大させ、日本一のICT教育のプラットフォーム『ICT教育・GIGAスクール構想TAKARAの杜』の構築に取り組みます。
専門性を高める教育に遠隔授業を導入 【目的】 遠方の専門家と共同学習を展開することで、目的意識をもたせて主体的な学びを実現し、より専門的で深い学びへと高めていく。 【取組の内容例】 小学校での総合的な学習の時間「プログラミング学習」 児童が作成するプログラミングコンテンツについて、遠隔地にいる教育学を学んでいる学生に助言や評価をもらいながら作品を作り上げていく学習活動。
遠隔教育で多様性をもたせた学習環境を創出 【目的】 他の学校との遠隔合同授業において、地域のよさや違いを活かした教材の研究開発を行う。 自然環境や気象条件、交通機関、公共施設等の相違点や共通点から授業づくりを行うことで、児童生徒に遠隔合同授業で学び合う意義を感じてもらう。 【取組の内容例】 英語学習教材「小学校5年・Unit 6 I want to go to Italy.」を活用し、児童同士でいろいろな国を紹介したり、行きたい国を伝えたりなど、少人数・小規模の学級では難しい活動を実施。
個々の児童生徒の状況に応じた遠隔教育、新型コロナウイルス感染拡大防止への取組 【目的】 別室登校を行っている児童生徒に対して、本人と保護者の承諾を得て、学級担任の専門教科である数学の授業を行い、学校生活に安心感を与える。 遠隔教育システムを活用し、町議場と各学校を結び「高森町子ども議会」を実施することで、大勢の生徒が一堂に会することを避ける。
遠隔教育の可能性を広げるために以下の取組を実施します。 個別に最適化された教育の実現 ① タブレット端末1人1台環境での1対1による遠隔授業の実施 ② 特別な配慮を要する児童生徒を支援するための遠隔授業やカウンセリングの実施 継続によるさらなる充実 ① 社会教育施設等と連携した、質の高い遠隔授業の実施 ② 教科・単元のねらいに応じた遠隔授業を組み立て、児童主体の双方向の対話を通じた深い学びの実現
令和という新しい時代を迎え、高森町は本格的な人口減少が進んでいます。地域産業の振興、関係交流人口の拡大や観光立町による地方創生の推進、安全安心で利便性の高い暮らしの実現、行財政の健全化など、取り組むべき課題は数多く、加えて熊本地震からの創造的復興も道半ばであります。 このような中、時代の流れに柔軟に対応し、地域住民の様々なニーズにこたえることができるまちづくりを進めていく必要があります。 高森町で生まれ、次世代を生きる子ども達が「ふるさと高森」に誇りを持ち、国際化、情報化といった新たな時代に求められる人材となるよう教育環境の整備を進めます。「将来の子ども達に誇れる高森町」を実現するためにも、「教育による町づくり」を全国に先駆けトップスピードで展開しなければなりません。
高森町の学校教育は「高森町新教育プラン」に基づき、国際化・情報化・少子化等の課題を見据え「情報化・国際化への対応」と「ローカルオプティマムとナショナルスタンダードのバランス」をキーワードに、2012年3月より実践しています。 町内に1つずつある小中義務教育学校をコミュニティ・スクールに指定し、小中一貫教育に取り組んでいます。 例えば、県境に位置する町立「高森東学園」は、2017年4月に熊本県初の義務教育学校として開校しました。義務教育9年間を「4・3・2」のブロック制一貫教育体制とし、都市部と格差のない教育環境を実現しています。 本町教育における最大のセールスポリシーは、高森町全域(全世帯)に整備された情報通信環境(光ブロードバンド)をフル活用している点です。「ふるさと高森」に誇りを持ち、夢と希望あふれる教育のブランド化を目指して「端末・ネットワーク・クラウド」をセットで整備するとともに、児童生徒一人ひとりにアカウントを付与し、個別に最適化された環境で、創造性をはぐくむ「ICT教育」体制を構築しています。
本町のこれまでの取組では様々な成果を生み出した一方で、乗り越えるべき課題も見つかりました。その一つが、日々進歩しているICT機器の更新費用について検討しなければならないことです。 特に児童生徒が使用するタブレット端末等は、高性能の製品が次々と開発され、それにあわせて社会のICT環境も大きく進んでいます。 このような時代の流れに乗っていくためには機器の更新が不可欠であることから、財源について検討する必要があります。 また、本町ではICTを用いた教育等を含めた「教職員のキャリアアップ」にも重点を置いており、教職員へのサポートが大変重要です。 特に新任の教師は、「高森町新教育プラン」に基づいた教育の質の向上やICT環境についての研修、習熟が必要です。 現在、本町では教職員で組織する研究部会を設立し、教職員のサポートを行っており、今後は活動内容をより充実させることとしています。
町の学校教育のブランド化への取組は、新型コロナウイルス感染拡大で始まった在宅学習対策に新たな「付加価値」を生み出しました。 本町でも臨時休校が行われましたが、3月時点で学校や家庭のインターネット環境をいち早く完全に整備し、遠隔による学習支援を全国に先駆け実施しました。 今まで積み上げてきたICT教育のノウハウを生かし、すべての児童生徒へ「同時双方向型オンライン授業」を実施し、遠隔教育により指導時間の確保を実現しました。 また、全世帯に整備した光通信によって全世帯で視聴可能な光ケーブルテレビを併用し、教職員による生活支援や学習支援が行われました。6月の学校再開以降も、ソーシャルディスタンスを保った学びなど、様々な場面でオンラインを活用したウィズコロナの授業づくりの工夫も生まれています。 さらに、“学びの機会”を手厚く確保するため、大手学習塾と連携し、コロナ禍の在宅受験対策として、ケーブルテレビによる大手学習塾の授業放送を開始しました。 教育のブランド化が、様々な形で高森町の「人材」を育成する取組につながっています。
2012年度から町内全域を対象に教育環境のICT化を目指した整備を進めてきました。 まず、各教室等(普通教室・特別教室・体育館)に電子黒板と実物投影機を配備し、各教科のデジタル教科書(学習者用デジタル教科書を含む)を導入しました。 同時に、校務支援システムや教務支援システムによる教師側のデジタル化も進めました。次に、各教室等に無線LAN環境を整備し、テレビ会議専用機の設置や教職員・児童生徒に1人1台タブレット端末の導入を完了しています。 新たな取組として、地元新聞社と連携し、同じ書籍や新聞資料等を同時に最大500人まで閲覧できる「タブレット図書館」の運用を開始しました。 各教科の授業と連携した家庭学習の一層の充実が図られることを目指しており、将来的には、児童生徒だけでなく町民全体への利用展開を目指しています。 2012年度から実施しているICT教育環境の整備は、全児童生徒、教職員への一人一台のタブレット端末の導入、全教室への電子黒板の配置、また、各教室等への無線LAN環境整備やテレビ会議専用機の設置に加え校務支援システムや教務支援システムによる教師側の情報化も併せて進めており、現在は、新たな取組みとして、地元新聞社と連携し、同時に同じ書籍や新聞資料等を最大500人まで閲覧できる「タブレット図書館」の運用を開始しました。 このような取組みをトップスピードで進めていく中で、令和3年5月には、全国で初の試みとなるオンラインによる天皇皇后両陛下の行幸啓が執り行われ、高森中央小学校を両陛下にご訪問いただきました。本町のICT教育環境や授業風景を両陛下にご高覧いただいたばかりでなく、児童生徒との交流や教職員に対しICT教育をはじめとした高森町の取組について励ましのお言葉をいただきました。 高森町が進める「高森町新教育プラン」が名実とも全国に誇るべき取組みとなった瞬間であり、今後の地域の子ども達の人材育成への決意を新たにしたところでございます。