人口約5万人、高齢化率35%の地方都市・荒尾市では、2012年に閉鎖された競馬場の跡地を活用し、全く新しいまちづくりに挑戦しています。跡地は広さ約35ヘクタール、東京ドーム7.5個分という規模を誇ります。 まちづくりのコンセプトは「ウェルネス」。誰もが安心・安全に暮らすことができ、まち全体が賑わいと活力に満ちた健康な状態「輝くようにイキイキしている(=ウェルネス)」になることを目指しています。 また、内閣府が提唱する「Society 5.0」の実現に向け、AIやIoTなどの先進的技術を導入した「スマートシティ」にもチャレンジしています。2020年5月には国土交通省のスマートシティモデル事業「重点事業化促進プロジェクト」に、さらに同年7月には全国のけん引役となる先駆的な団体「先行モデルプロジェクト」にも選定されました。全国22団体のうち、九州からは唯一、荒尾市が選定されました。 競馬場跡地を中心とした「南新地地区」では、土地区画整理事業にて盛土や道路工事等を進めています。まちづくりのコンセプトであり、象徴となるウェルネス拠点は、街区ごとに土地利用方針を定め、住宅エリアのほか、生活に便利な公益(共)施設、公園、緑地などで構成されるゾーンを設けます。公益(共)施設ゾーンは、ウェルネスの拠点となる「先進コアゾーン」と位置づけ、市が整備を予定している道の駅や保健福祉子育て支援施設のほか、温浴施設、宿泊施設、運動施設、アウトドア施設といった民間事業者の誘致を検討しています。 これらの施設は単独で配置せず、機能連携・分担しながら、相乗効果によって新たな価値を生み出す「機能連携型ウェルネス拠点」を目指しています。
新技術を導入・コンロトールしやすい南新地地区を「リビングラボ」(企業・市民・行政等が連携して課題解決に取り組む場)として活用し、事業性が確立した取組みを市全域に展開します。現段階では、エネルギー、モビリティ、ヘルスケア、データ利活用の4分野です。 エネルギー分野では、再生可能エネルギーの域内活用、蓄電池・EV等との連携、複数の機能を群制御することでエリア全体のエネルギーマネジメントと災害に強い電力インフラの構築を目指しています。 モビリティ分野では、AIを活用したオンデマンド型の相乗りタクシーの運行を2020年10月に開始しました。そのほか、蓄電池としてのEV活用・電動化とともに、自動運転を含むMaaS(マース)の実現を目指しています。 ヘルスケア分野では、東北大学COI東北拠点と連携して「さりげないセンシングと日常人間ドック」の取組みを進めています。例えば、センサーを搭載した鏡の前に立つと健康状態が分かる「ウェルビーイング・ミラー」などを活用して、日々の生活で手軽に人間ドックができるというものです。さらにそのデータを離れて暮らす家族と共有したり、健康状態に合った食事や運動プログラムの推奨につなげることで、自然な形で健康意識の変容がで図られることを目指しています。 データ利活用では、東京大学大学院情報理工学系研究科ソーシャルICT研究センターと連携して、個人情報をより安全に管理・活用する「パーソナルデータエコシステム」の検討を進めています。これはアメリカのIT4大企業GAFAなどの民間事業者が集中管理している情報を、個人が管理し、本人同意のもとで利活用するというものです。例えば、保護者と学校の先生、かかりつけ医や保健師などがアプリを使って子どもの情報を共有し、よりきめ細やかな対応を可能にするなどで、市民サービス向上を目指しています。
荒尾市は、福岡市・熊本市から1時間程度でアクセスできる便利な場所に位置しています。 本プロジェクトで開発を進めている南新地地区は、JR荒尾駅前という利便性のよさに加え、自動車専用の地域高規格道路「有明海沿岸道路」のインターチェンジも設置される予定です。東京ドーム7.5個分という広大な土地は海に面しており、有明海に沈む夕日は絶景です。 寄附をいただく企業の皆様には、本プロジェクトに積極的に関わっていただき、新しいサービスや製品の実証実験の場として活用していただければと考えています。 本市が目指しているのは、市民が誇りを持ち、「荒尾市に生まれ育ってよかった」と実感できるまちづくりです。自分の子どもや孫も荒尾市で育ってほしいと思う市民が一人でも増えれば、こんなにうれしいことはありません。 「快適で暮らしやすいまち」を多くの市民が実感できるよう、民間事業者や学術研究機関と強力なパートナーシップを構築し、「暮らしたいまち日本一」を実現していきます。本プロジェクトは市の最重要課題としてスピード感をもって取り組んでおり、開始から2年ほどで事業化につながったものもあります。荒尾市の新しいライフスタイルをともにつくり上げていただける企業の皆様からのご寄附とご支援を、心よりお待ちしています。