本町は歴史的価値のある文化財や名所旧跡、伝統的な祭事などが数多くあります。なかでも毎年9月に開催される「八朔(はっさく)祭」は、約260年の歴史をもつ五穀豊穣を願う祭りで、巨大な山車「大造り物」の引き廻しが有名です。大造り物は大阪府にある国立民族学博物館に常設展示されています。 熊本県に唯一残る人形浄瑠璃で県の重要無形文化財に指定されている「清和文楽」や、その起源は約450年前ともいわれる蘇陽(そよう)地区の「火伏地蔵祭」、日本神話に登場する神様に捧げる歌や踊りを幻想的な世界観で表現した「神楽」なども代々継承されています。 しかし、近年の高齢化や人口減少、PR不足により、祭りの担い手が足りず、存続が危ぶまれています。こうした課題を解決し、貴重な歴史・文化的資源を後世へ引き継ぐため、日本から世界へ向けて、本町の伝統文化を活用した事業や情報を発信します。
八朔祭で使用する「大造り物」は、大きいものでは高さが5メートルを超えます。すべて自然の材料を使った作品は、材料探しも含めると制作期間が約3~4か月にもわたります。祭りでは、何基もの大造り物が商店街を引き廻され、その光景は迫力満点です。日本を代表する祭りの一つとして世界にも誇れる伝統行事ですが、知名度の低さが課題です。 また、八朔祭の大造り物、清和文楽、神楽ともに担い手が不足しており、伝統文化の衰退が懸念されます。 大造り物は、矢部高校林業科学科と矢部小学校の生徒も毎年制作し、祭りでは引き廻しも行います。清和文楽においても清和小学校で人形遣い等の授業を行っています。このように、地元の子ども達と関わりがありますが、後継者の獲得に結びついていません。当町が誇る伝統文化の魅力を発信することで若者の参加を増やし、未来につなぐご支援をお願いいたします。
八朔祭の「大造り物」は迫力があり、観光資源になりうる魅力を持っています。そこで祭り期間以外にも観光客を呼び込めるよう、大造り物を通年展示する「大造り物小屋」を町内7か所に設置し、各小屋をめぐる町歩きルートの考案や、農業体験ができる宿泊(農泊)とコラボした滞在型コンテンツの造成を山都町観光協会と協力して進めています。 祭り期間中は、1.町内に設置したカメラでのライブ配信、2.映像・動画配信には解像度が高い4k・8k技術を採用、3.過去の祭りをアーカイブして保存するなど、最先端技術を活用し、八朔祭の認知度アップにつなげたいと考えています。そして日本国内だけでなく全世界へ配信し、祭りのオンライン参加を実現します。 2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により開催できなかった八朔祭を、感染防止策を徹底した新しい生活様式に対応した祭りとしてPRしたいと考えています。
コロナ禍、withコロナ時代であっても、「八朔祭」が新しい生活様式に対応した祭りとして開催できるよう、感染防止に関するノウハウを有する企業や、最新の動画配信技術等を提供いただける企業を募集しています。 当町は八朔祭のほかにもすばらしい歴史・文化資源を多数有しています。それらを保全しながら、貴重な地域資源として活用したコンテンツを提供することで、観光客の滞在時間を延ばし、観光消費額の拡大につなげたいと考えています。
「大造り物」の制作を手がける棟梁たちは、自分たちの作品を「芸術の都」フランス・パリに展示したいという気概を持ち、技術を競い合いながら、個性的な作品作りに取り組んでいます。 日本の農村文化の集約ともいえる「八朔祭」、地域の人情や和を人形芝居で表現する「清和文楽」、自然を敬い、神に感謝する「神楽」など、伝統文化や祭りには「自然に感謝し、支えあい、一人ひとりを大切にする」という農村社会の精神文化が根付いています。価値ある民俗文化の魅力発信・保全・継承に、ぜひともお力添えくださいますよう、お願いいたします。
1.世界に認知していただけるよう、山都町観光協会が主体となって八朔祭の「大造り物」のwebページを制作、2021年2月下旬から公開しています。大造り物の写真や3DCG画像をはじめ、作り手の紹介、制作風景や祭りの様子を収録した動画なども掲載し、今後の活動に役立つ充実したコンテンツになっています。 【八朔祭大造り物webページ】 https://yamato-kanko.com 2.2020年の新型コロナウイルス感染拡大により、多くの人が集まる行事を開催できなくなったため、山都町観光協会が主体となって、各連合組の棟梁が大造り物の魅力や材料について説明する映像を配信し、PRを行っています。 【山都町観光協会YouTubeチャンネル】https://www.youtube.com/channel/UCema7Mq_YoEUYscaJvFBWjw 3.2021年度以降は「新しい生活様式」に対応した祭りとして、メインステージに升席を設置する等の検討を行っています。