人間を含む全ての動物の,いのちをつなぎ,いのちが輝く動物園であり続けたい。そうした思いから,動物達の保全や環境共生に寄与する動物園を目指していきます。ゾウやゴリラ,琵琶湖水系に生息するイチモンジタナゴといった希少動物・絶滅危惧種の保全や,市内木材の活用・太陽光発電の推進といった環境共生に寄与する展示・施設の整備により,SDGsや生物多様性,環境保全について子どもたちや市民ひとりひとりが学び,参画する場となることを目指します。
近年,動物園の役割や位置づけが大きく変わってきています。絶滅危惧種や希少種を保全する「種の保全」や,動物の生態を通じた「環境教育」,飼育動物達が心身ともに健康に暮らせる環境を整える「動物福祉」の取組など,人と自然との「環境共生」の実現に寄与することが求められています。 今後,こうした取組を一層進めるため,動物福祉及び繁殖のための獣舎を整備し,環境共生・環境教育に寄与する施設・展示を充実させる必要があります。
以下のような取組により,動物福祉に配慮した種の保存・繁殖のための獣舎を整備し,環境共生・環境教育に寄与する施設・展示を充実させます。 【取組例】 ・「ゾウの繁殖プロジェクト」 ・「絶滅危惧種であるイチモンジタナゴ繁殖プロジェクト」 ・「市内木材を活用した施設の整備」 ・「動物福祉に配慮した施設の整備」 ・「太陽光パネル等によるクリーンエネルギーの活用」
「環境教育」,「環境共生」,「種の保存」など,動物園に求められている役割を実現していくためには,京都市動物園の取組を知ってもらい,より多くの市民の皆様や企業・団体等から御支援をいただくことが必要です。 そのため,広報資料やホームページ,SNS等での発信に努めていますが,さらに多くの企業・団体に当園の取組に興味を持ち,共感していただくことが大切だと考えています。
京都市動物園は明治36年に,市民の皆様から多額の寄附が寄せられて建設された,日本で2番目に歴史のある動物園です。今後とも「近くて楽しい動物園」として多くの方々に愛され,また子どもたちだけでなく幅広い世代が動物や環境について学べる動物園を目指してまいりますので,御支援のほど,よろしくお願いいたします。
・ゾウの繁殖プロジェクト 2014年にラオスから4頭の子ゾウを寄贈いただき,ラオス政府と連携して繁殖プロジェクトに取り組んでいます。4頭はいずれも健康に成長しており,9歳になるオスは複数のメスに対し乗駕行動を見せています。今後,日本とラオスの友好の架け橋となる赤ちゃんゾウの誕生と繁殖技術の構築が期待されます。 ・守れ!イチモンジタナゴ!プロジェクト 琵琶湖で生息するタナゴの一種イチモンジタナゴ(絶滅危惧IA類)は,近年,環境の変化により確認が困難となっています。この種が琵琶湖疏水でつながる京都市動物園近隣の平安神宮神苑の池に生息していることから,動物園において繁殖を試み,野生への再導入を目指しています。 ・環境共生に寄与する施設の整備(木道や太陽光パネルの維持管理) 市内木材を活用し,園内の「おとぎの国」エリアから「アフリカの草原エリア」までをキリンの目と同じ高さから見下ろせる木道(もくどう)を整備しています。また園内各所に太陽光パネルを設置し,ゾウ・シマウマのたい肥を市内農業関係者に配布するなど,クリーンエネルギーの活用に努め「エコZOO」を目指しています。今後とも,こうした環境共生に寄与する施設を維持管理していく必要があります。 ・サルワールドの再整備 2015年にリニューアルにより,園内のサルワールドにおいて「ゴリラのおうち樹林のすみか」,「新サル舎」を新設しました。今後,老朽化が進み動物福祉の観点から課題のある「類人猿舎」「サル島」を整備する必要があります。