スポーツによるまちづくりを進める和歌山県上富田町。「上富田町スポーツセンター 野球場」改修事業の現在地
2022-02-22 08:00:00
和歌山県南部に位置する人口約1万5,700人の小さなまち上富田町では、スポーツの力を信じ、スポーツによるまちづくりを進めてきました。町が誇る野球場の改修・再整備事業を、企業版ふるさと納税の寄付の対象にしています。同事業がふるさとコネクトに掲載されてから少し時間が経ったこともあり、担当者に進捗状況などを伺うことにしました。そこからは、資金難などの課題に苦心する一方で、着実に、効果的な施策を実行する町の姿が見えてきました。
野球場の改修は、資金不足から中断中
「上富田町は、隣接する白浜町や田辺市に比べて観光地が少ないこともあり、スポーツを軸にしたまちづくり、スポーツ観光事業を展開しています」と話すのは、上富田町役場振興課でまちづくりを担当する出羽正典さんです。海、景勝地、名湯にパンダと、全国に知られる観光資源をもつ近隣のまちを考慮して選んだのは、「一年を通じて温暖な気候」を活かしたスポーツによるまちづくりでした。「野球場(をはじめ)、サッカー場、ラグビー場(として使える多目的グラウンドと球技場)とスポーツサロン(ジム)などからなる、トップアスリートの利用も考慮した、上富田スポーツセンターという施設があります。住民に、最高峰のプレイを見て、感動してもらうと同時に、住民の健康増進やスポーツの関係人口増加を目的につくった施設です」。
野球場は完成から30年近く経ち、老朽化が目立っています。これまでプロ野球ウエスタン・リーグの阪神タイガースが公式戦を開催してきましたが、ここ数年はコロナ禍で実施されていません。「今なら影響が少ないと考え、改修を計画しました」と話す出羽さん。「今までに内野の土の入れ替え、ラバー(フェンス)の張り替えなどを実施しました。芝の張り替えや電光掲示板の導入も予定していましたが、予算不足で断念しました。利用者の満足度も利用率も上がるはずですが、電光掲示板は1億円かかるので…」。
野球場は完成から30年近く経ち、老朽化が目立っています。これまでプロ野球ウエスタン・リーグの阪神タイガースが公式戦を開催してきましたが、ここ数年はコロナ禍で実施されていません。「今なら影響が少ないと考え、改修を計画しました」と話す出羽さん。「今までに内野の土の入れ替え、ラバー(フェンス)の張り替えなどを実施しました。芝の張り替えや電光掲示板の導入も予定していましたが、予算不足で断念しました。利用者の満足度も利用率も上がるはずですが、電光掲示板は1億円かかるので…」。
施設のレベルの高さには自信あり
「プロ野球、社会人野球や高校野球に加え、町が応援する、独立リーグ所属の県内チームも公式戦と練習で使用するなど、野球場の利用率は高いです。実際、土日は合宿などで予約がいっぱいです」。人気の秘密は、施設のレベルの高さにあると出羽さんは教えてくれました。「グラウンドの広さは甲子園とほぼ同じですし、阪神(タイガースのウエスタン・リーグ)が利用するつながりから、甲子園のグラウンドキーパーさんが、時折グラウンド状態を見てくれるんですよ」。
「そもそも、球場を含めたスポーツセンター自体がレベルの高い誇れる施設です。例えば球場に隣接するスポーツサロンは、もともと住民の介護予防を目的につくった施設ですが、トップアスリートの評判も上々です。サッカー場やラグビー場に使えるグラウンド(と球戯場)は3面あって、効率的に練習できるので、ヴィッセル神戸や横浜FC、ラグビージャパン(ラグビーワールドカップの日本代表選手)などに利用していただいています」。施設の評判が良く、順調に利用者を伸ばしていたところに起きたコロナ禍。利用者を大きく減らしたのはいうまでもありません。
「そもそも、球場を含めたスポーツセンター自体がレベルの高い誇れる施設です。例えば球場に隣接するスポーツサロンは、もともと住民の介護予防を目的につくった施設ですが、トップアスリートの評判も上々です。サッカー場やラグビー場に使えるグラウンド(と球戯場)は3面あって、効率的に練習できるので、ヴィッセル神戸や横浜FC、ラグビージャパン(ラグビーワールドカップの日本代表選手)などに利用していただいています」。施設の評判が良く、順調に利用者を伸ばしていたところに起きたコロナ禍。利用者を大きく減らしたのはいうまでもありません。
スポーツの力で、60年以上人口が増え続けているまち
優れた点の多い人気の施設をどう活用して、関係人口を増やしていくか。そして寄付金を得られる魅力につなげていくか。町の考えを尋ねました。「いまある施設の魅力に、さらに付加価値を加えていくべきだと思っています。じつは、プロジェクト立ち上げ当初は、ドローンなどデジタル技術の活用を検討していました。すでにサッカーやラグビーでは、練習中の動きをドローンで撮影して解析します。これを町の施設に導入すれば、多くのチームに利用してもらえるのですが、なかなか予算のめどがつきません」。
「ただ、スポーツによるまちづくりというコンセプトは変わりません。じつは上富田町は、昭和33年(1958)にいまの町ができて(初めての国勢調査)以来約60年以上、ずっと人口が増え続けているのです。その要因は様々あると思いますが、ひとつには、スポーツによるまちづくりが実を結んだことがあると考えています」。
「ただ、スポーツによるまちづくりというコンセプトは変わりません。じつは上富田町は、昭和33年(1958)にいまの町ができて(初めての国勢調査)以来約60年以上、ずっと人口が増え続けているのです。その要因は様々あると思いますが、ひとつには、スポーツによるまちづくりが実を結んだことがあると考えています」。
寄付金はもちろん、専門家の派遣にも期待
「上富田町は、2017年に南紀ウエルネスツーリズム協議会という、旅行業もできる(一般)社団法人をつくりました。ここが(上富田)スポーツセンターの指定管理者になり、食育レストランも運営しているので、スポーツ合宿における施設利用、宿泊、食事、温泉など、近隣施設を含めた手配がワンストップでできるようになっています」。
「企業研修の予約も増えています。じつはチームビルディング(個人の能力、経験を最大限に発揮し、目標達成できるチームをつくること)研修を行える講師が、協議会に所属しているのです。この研修はスポーツにも応用できるもので、ラグビーのトップチームが合宿された際には、海でサップ(スタンドアップ・パドルボード)を体験したり海岸でカレーづくりを楽しみながら、チーム力を高めていました。今後も協議会のコーディネートを駆使してスポーツによるまちづくりを目指します」。
最後に、企業に期待することを聞きました。「お金の提供はもちろん、とてもありがたいことです。電光掲示板の費用を出してくださるなら、もちろんネーミングライツも検討します。企業版ふるさと納税の人材派遣制度を利用したご協力も期待しています。観光、スポーツ、健康やウエルネスの分野を専門とする人材を提供していただくことも、ありがたいと考えています」。
上富田町では、住民が健康になる、来訪者も健康になるまちを目指し、ウエルネスタウン構想を立てて、スポーツでまちを活性化する取り組みを進めています。スポーツや健康関連に関心の高い企業の担当の方は、上富田町への協力を検討してみませんか?
(オフィス・プレチーゾ 桜岡宏太郎)
【和歌山県・上富田町】「上富田町スポーツセンター 野球場」を改修し、スポーツによるまちづくりを推進
「企業研修の予約も増えています。じつはチームビルディング(個人の能力、経験を最大限に発揮し、目標達成できるチームをつくること)研修を行える講師が、協議会に所属しているのです。この研修はスポーツにも応用できるもので、ラグビーのトップチームが合宿された際には、海でサップ(スタンドアップ・パドルボード)を体験したり海岸でカレーづくりを楽しみながら、チーム力を高めていました。今後も協議会のコーディネートを駆使してスポーツによるまちづくりを目指します」。
最後に、企業に期待することを聞きました。「お金の提供はもちろん、とてもありがたいことです。電光掲示板の費用を出してくださるなら、もちろんネーミングライツも検討します。企業版ふるさと納税の人材派遣制度を利用したご協力も期待しています。観光、スポーツ、健康やウエルネスの分野を専門とする人材を提供していただくことも、ありがたいと考えています」。
上富田町では、住民が健康になる、来訪者も健康になるまちを目指し、ウエルネスタウン構想を立てて、スポーツでまちを活性化する取り組みを進めています。スポーツや健康関連に関心の高い企業の担当の方は、上富田町への協力を検討してみませんか?
(オフィス・プレチーゾ 桜岡宏太郎)
【和歌山県・上富田町】「上富田町スポーツセンター 野球場」を改修し、スポーツによるまちづくりを推進