【認定ファンドレイザー®が語る】大規模災害発生後、企業ができる社会貢献
2022-02-21 08:00:00
崩れた家々の様子

震災大国日本では、いつどのような大規模災害に見舞われるのかわかりません。災害の種類も地震だけではなく台風、大雪の被害も毎年のように起きています。また、引き続き火山の噴火にも警戒しなければならないでしょう。

災害直後のレスキュー支援だけではなく、復旧、そして復興を果たすためには長い道のりが必要です。そして、多くの人の協力が不可欠となります。企業としても事業所や工場がある地域で災害が発生した際、「何か応援をしたい」と思うでしょう。

大規模災害発生後、企業ができる「寄付」など、支援活動についてお伝えします。

寄付

復旧・復興のためには時間だけではなくお金がかかります。災害の規模によっては、その被害総額は莫大なものとなります。

被災した自治体によっては企業版ふるさと納税として寄付をよびかけるケースがあります。企業版ふるさと納税を通して寄付することで、速やかに、かつ、直接に被災自治体へ寄付金を届けることができます。

近年は防災・減災など災害が発生する前の「備え」の事業に対して企業版ふるさと納税で応援をよびかけている自治体もあります。災害が起こる前からそのまちの基盤を強化し、災害被害を食い止める活動を応援してみてはいかがでしょうか。
手のひらの上にハートとSUPPORTの文字

物資の提供

災害が発生した場合に、自治体やNPOなどと連携し、被災地のニーズを把握したうえで、企業がもつ物資・サービスなどの支援を提供する仕組みを整えている企業が増えています。

ここで重要なのが「自治体やNPOなどと連携」と「被災地のニーズを把握」です。物資の提供のためには、適したタイミングの把握と、支援をする物資の内容と現地ニーズのマッチングが不可欠です。

被災地では時期によってニーズが変わってきます。災害発生直後は「衣食住」を守るために必要なもの(食料、おむつ、生理用品、寝具など)が必要となります。その後の復旧・復興期においては、ニーズが細分化されます。子どもたちにとっては学校へ通学するために必要な学用品が必要となるかもしれませんし、地元企業の復活のための機材提供など事業承継のための応援の声も上がってくるでしょう。

地元のニーズとのマッチングがなされてないと、せっかく届いたのに配布されない物資が倉庫に残ることとなります。

それを避けるためにも「自治体やNPOなどと連携」を密に取ることが大切です。できれば災害が発生する前から企業版ふるさと納税などを通じて関係性を築いておくと、災害発生後、自治体からの情報をより受け取りやすくなり、ニーズとタイミングにあった支援物資を提供することができるでしょう。

また企業が事前に「災害時の物資支援協定」を自治体と締結するケースもあります。すでに関係性が生まれている自治体と協定を締結することでより迅速に支援を行うことが可能となります。
5本の水ボトルとトイレットペーパーなど

物流支援

大規模災害が発生した場合、全国から警察、消防、自衛隊の救助部隊や食料、生活必需品などの救援物資が集まることになります。

迅速な救援活動や被害の拡大防止を図るため必要となるのが救助部隊の集結場所や救援物資の物流倉庫です。

企業によっては、工場などの事業地や駐車スペースを、自治体に貸し出し、広域支援拠点(救助部隊の宿営地や救援物資の集積地)として活用してもらうケースがあります。

物流の拠点は、人々の命を守るためにとても重要な「鍵」となる場所です。こちらも自治体が災害発生前に支援をいただける企業と協定を結んでいます。

ボランティア派遣

ボランティアを希望する従業員を現地に送り、直接被災した方々へ手を差し伸べる活動を考えている企業もあるでしょう。

実際に、家に流れ込んだ土砂を取り除く作業などは、特に高齢者にとっては重労働です。また、同じように被災した人には打ち明けられない話を、外部の人にはしやすいこともあります。私が東日本大震災の支援で2011年4月に岩手県に入った時、「ここの避難所のみんな、家族の誰かを亡くしている。だからお父さんがいなくなって悲しい、と私だけのことを声を出して言えない」と打ちあけ大粒の涙を流した女性がいました。

被災地にとってボランティアはとてもありがたい存在です。ただここにも物資配布同様に「自治体やNPOなどと連携」と「被災地のニーズを把握」が重要となります。
道路を掃除する様子

平時からの関係づくりを

大規模災害が起こったニュースを見て、「何かせねば」「支援をしたい」と考え、動こうと思っても「現地では何が必要なのかわからない」「変に物を届けて、いらないといわれないか」と不安になり手を止めてしまう企業もあるでしょう。

物資やボランティア派遣も「被災地のニーズを把握」なくしては、適切なマッチングが行われず、無駄になってしまう可能性もあります。

そのために大規模災害が起こる前から自治体やNPOなどと連携を図っていくことが重要となります。事業所や工場がある自治体への企業版ふるさと納税を通じた寄付からまずは関係性を築いていかれるとよいのではないでしょうか。
(認定ファンドレイザー® 鎌倉幸子)