【認定ファンドレイザー®が語る】7つのステップ! 中小企業のSDGsへの取り組みの始め方
2022-02-14 08:00:00
様々なアイコンのイラストと中央に17SDGの文字

2016~2030年までに、全世界が達成すべき持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals、SDGs)として17のゴール(世界的目標)と169のターゲット(達成基準)が示されました。

SDGs達成のために企業の役割が重要視されていることから、SDGsの視点を自社の経営に導入したり、SDGsの達成基準などを配慮した新たなプロダクトやサービスを開発する企業が増えている一方で、特に中小企業ではどこから手をつけてよいのかわからないという声も聞かれます。

世界的目標と聞くと壮大な事業を展開しないといけないと考えてしまいますが、まずは小さなステップからでもスタートすることが大切です。全国の自治体もSDGsへの取り組みを進めており、自社の視点や取り組みが合致している自治体へ支援をしたり、協働事業を提案したりすることも可能です。

今回は、導入のためのステップをお伝えします。

【1】SDGsを理解する

SDGsを自社に取り入れるかを判断するためにも、まずは経営層がSDGsについて正しく理解する必要があります。

SDGsへの取り組みは企業イメージの向上につながるといわれていますが、反面、言葉だけで実行に移していない企業に対する風当たりは強くなります。

SDGsを通常業務に取り入れるだけではなく、その視点をもって新しいプロダクトを開発するとなると人的、資金的なリソースを割く必要があります。従業員の理解を得るためにも、まずは経営層がSDGsについて正しく理解し、「なぜ取り組むのか」を自分の言葉で伝えていく必要があります。

またその後、経営層だけではなく従業員がSDGsの基本を学ぶ機会をつくりましょう。「SDGsに取り組む意味」や「自社が社会にどのように貢献できるか」を知り、実感できると従業員のモチベーションにもつながります。
人の横顔4つ

【2】SDGsの視点で自社の事業や組織などを分析する

SDGsの17の世界的目標を見ながら、自社として何ができるのかを考えていきます。

例えば、世界的目標3の「すべての人に健康と福祉を」の実現のために、自社がすでに提供しているサービスやプロダクトはあるか、専門性やリソースを活かして取り組めることはないかと考えていきます。

SDGsと聞くと事業面での貢献を考えがちですが、世界的目標8の「働きがいも経済成長も」は組織内の従業員の「働きがい」が焦点となります。その点において課題と感じているのであれば、まずは自社の「働きがい向上」への取り組みが、必要性が高いと判断できます。

【3】優先課題を決定する

SDGsの世界的目標すべてを包括しようとするのではなく、優先課題を決定しましょう。

事業や組織の現状分析の結果だけではなく、2030年までの長期的視野をもって、自社として取り組むべきことを考慮したうえで、どの課題の解決に力を入れていくかを決めます。

その際に、自社分析だけではなく、取引先や顧客、地域住民などのステークホルダー(利害関係者)とのつながり、将来的な社会・環境・経済の状況なども考えて優先順位付けをしていきます。

【4】達成目標を設定する

世界的目標5の「ジェンダー平等を実現しよう」ではよく女性管理職の割合を指標に使うケースが見られます。ただ「女性管理職を増やそう」ではなく「初年度は10%、2030年度までに40%にする」など具体的な数値目標を設定していきます。

世界的目標12の「つくる責任つかう責任」にはリサイクルや再利用(リユース)による廃棄物の排出量の大幅削減が示されています。自社で出すゴミの排出量を減らしたり、リサイクルや再利用を行い、その割合を達成目標として設定することもできるでしょう。

また、環境にやさしい商品の開発や福祉分野への新規参入など、自社の強みを活かした事業開発などを行うケースも見られます。その際に、売り上げの目標も設定します。

初年度はその目標値が適切なのか分からないかもしれません。また自然災害、パンデミックなどの外的要因も影響してきます。目標値は、年に1度振り返り、見直しを行いましょう。
方位磁石とGOALの文字

【5】実行

課題の優先順位をつけ達成目標を設定しても実行しなければ絵に描いた餅になってしまいます。

実行中も、「SDGsに取り組む意味」や「自社が社会にどのように貢献できているか」を、経営層や従業員が振り返る機会をつくりましょう。

【6】評価・改善

SDGsへの取り組みは単年度で終わるものではありません。特に、手探りの状態である初年度は計画通り事業が進められなかったり、設定していた目標に届かなかったりすることもあるかもしれません。その原因を分析し、取り組みの内容を改善し、翌年度の計画に反映させましょう。

設定目標を達成した場合、より高い目標を設定し、進めていきましょう。

【7】報告とコミュニケーション

SDGsへの取り組みや、社内・社外へ報告・発信していきましょう。企業のSDGsへの取り組みは、顧客だけではなく、取引先、投資家から見た企業価値を高めます。

また、いまのZ世代などの若者層は学校教育のなかでSDGsについて学んでおり、環境などに関心が高いため、就職先としてSDGsに取り組んでいる企業を意識する傾向があるといわれています。人材の確保のためにも広く取り組みを知ってもらいましょう。
世界地図とグラフ

【最後に】「パートナーシップ」での進め方

一社でのSDGsの達成に向けた取り組みには限界を感じるかもしれません。その時は、世界的目標17の「パートナーシップで目標を達成しよう」を思い出してください。

近年、SDGsに積極的に取り組んでいる自治体が増えています。自治体が行っているSDGs達成に向けた事業と、自社が優先している課題が合致している場合、それに関する事業に企業版ふるさと納税で支援をすることも世界的目標17の「パートナーシップで目標を達成しよう」につながります。また寄付をきっかけに関係性が構築され、協働事業が生まれるかもしれません。

一人ではできないことも、パートナーがいれば可能性は広がります。
(認定ファンドレイザー® 鎌倉幸子)