【企業版ふるさと納税コンサルタントに聞く】寄付を検討中の大企業の意思決定のポイントとは?
2021-12-23 08:00:00
会議の様子

「どんな手順を踏んでどんな事を検討すれば、的確な判断が下せるのか…」企業版ふるさと納税利用を検討している経営者様、担当者様にとっては、悩ましいところでしょう。そこで、すでに企業版ふるさと納税制度を活用している大企業の実例を基に、どのような手順で企業版ふるさと納税を検討し、何を重視して決断したかなど、企業の意思決定のポイントを振り返ります。会社の規模によってプロセスに違いはあれど、きっと参考になるはずです。

何はさておき、自社に合わせた社内方針を決定

ノートパソコンと手
企業版ふるさと納税の利用を検討する手順は、大きく3つに分けることができます。その最初の段階は社内の方針を決定すること。この決定を導くには、「制度の分析」と「寄付方針の検討と決定」を行います。

<制度の分析> 企業版ふるさと納税はどんな制度か、具体的計画はどう立てるべきか、メリットとデメリットは何かなど、制度を詳しく分析します。

<寄付方針の検討と決定> 自社のCSR(企業の社会的責任)方針、事業・経営方針などと照らし、どんな寄付を行うべきかを検討します。例えば「うちには、子どもの教育環境の支援がぴったりだ」「環境保全なら技術を提供できる」などを検討します。今回参考にした企業の場合は、寄付方針の検討を徹底して行っていました。

自治体調査から社内提案まで、第2段階は社内調整

付箋と指差し
第2段階となる社内調整には、おもに次の4つのステップがあります。

<自治体調査と候補の絞り込み> どの自治体がどんな事業を掲げているか、自社に合う自治体はどこかを徹底的に調査します。全国1788の自治体の情報収集には、内閣府の「企業版ふるさと納税ポータルサイト」や、全国のプロジェクトを簡単に検索できる「ふるさとコネクト」を参考にしてみてください。
企業版ふるさと納税ポータルサイト
ふるさとコネクト

<候補自治体の情報調査と分析> 自治体公式サイトの企業版ふるさと納税のページや首長のブログなどを参考に、自治体について分析します。

<社内提案資料の作成> 分析した自治体の事業内容を基に、その自治体を選定した基準は何か、寄付を行った時のメリット、デメリットは何かを明らかにし、提案資料を作成します。選定基準については、従業員や株主、顧客が納得できる明確な基準をつくる必要があります。

<社内提案・調整> 担当部署から役員、社長へと意思決定が進む段階です。営業部門やCSR部門、財務や経理など金銭を担当する部門を含め、様々な部署が連携して調整します。経理上の処理は可能か、寄付金額の実質約1割負担は実現できるか、などの検証を行うのもこの段階です。

最終段階は、寄付に向けた自治体との調整

ノートパソコンと付箋と指差し
最後は、寄付に向けた自治体との調整です。3つのステップを踏んでいきます。

<自治体に連絡、さらなる社内調整を経て寄付手続き> 社内調整を終えたら、実際に自治体へ連絡します。そして、判明したことを基に社内調整を進め、自治体とも交渉を重ねます。そして内容が煮詰まったらいよいよ寄付の手続きです。

<プロモーションおよび関連施策についての調整> 自治体と連携して、寄付を行う日時の調整や、プレスリリースを出すタイミング、内容を詳細まで調整します。現地視察や社員向けのCSR動画の作成なども、ここで行います。

<関係部署との調整と税務処理> 経理や財務の担当部署が税理士と調整し、全体の利益を考慮しながら、企業版ふるさと納税による損金算入と税控除額の算出などを行います。重要な段階です。


ここまで、すでに企業版ふるさと納税制度を利用し成功している企業が、どのような流れで寄付を行ってきたかを見てきました。この流れを基に取り組みを進めれば、対外的に問題となることもなく、上手な寄付につなげることができるはずです。こうした手順を参考にしつつ、無理のない計画を立て、失敗のない社会貢献活動をご検討ください。

より具体的な貴社の企業版ふるさと納税の活用やマッチングのコーディネートにつきましては、ふるさとコネクト連携の「riverサービス」をおすすめしています。
(企業版ふるさと納税コンサルタント 小坪拓也)