【寄付集めの成功例に迫る】トップダウンによる積極的なPR活動で、多くの寄付企業を開拓する〜北海道八雲町~
2021-12-13 08:00:00
成功したプロジェクトの道のりをひも解くと、そこには必ず、取り組みを成功に導いたポイントがあります。ここでご紹介する、北海道八雲町の取り組みにも、参考にしたい重要なポイントがありました。なぜ、八雲町は寄付企業総数61件、寄付総額8360万円(2021年12月末見込)にもおよぶ寄付を集めることができたのか。その秘密を、担当者のお話から検証します。
サーモンと酪農で、「産業を活性化し、働く人をつくる」
八雲町は「産業を活性化し、働く人をつくる」プロジェクトを掲げ、「サーモン試験養殖事業」で産業の活性化を、「研修牧場整備事業」で働く人をつくることに挑んでいます。
サーモン試験養殖事業は、北海道初となるニジマスの海面養殖に取り組むものです。事業は八雲町を含む複数の市町村と企業が参画した協議会が主体となり、現在試験養殖を行っています。太平洋と日本海ふたつの海に面する町らしく北海道二海サーモンと名付けられた海面養殖したニジマスは、個人版ふるさと納税の返礼品としても人気が高く、企業版と個人版、ふたつのふるさと納税を存分に利用した仕組みをつくり上げました。
一方の研修牧場整備事業は、大規模の研修牧場をつくり酪農の担い手を育成するもので、北海道近代酪農発祥の地である八雲町の矜持が感じられる取り組みです。牧場は2021年4月から稼働し、おもに町と農協などが出資する法人が運営。搾乳ロボットを備え、経産牛や育成牛を飼養します。総務省の地域おこし協力隊からも3名が派遣されています。
【北海道・八雲町】「日本で唯一二つの海をもつ町」で産業を活性化し、働く人をつくる
サーモン試験養殖事業は、北海道初となるニジマスの海面養殖に取り組むものです。事業は八雲町を含む複数の市町村と企業が参画した協議会が主体となり、現在試験養殖を行っています。太平洋と日本海ふたつの海に面する町らしく北海道二海サーモンと名付けられた海面養殖したニジマスは、個人版ふるさと納税の返礼品としても人気が高く、企業版と個人版、ふたつのふるさと納税を存分に利用した仕組みをつくり上げました。
一方の研修牧場整備事業は、大規模の研修牧場をつくり酪農の担い手を育成するもので、北海道近代酪農発祥の地である八雲町の矜持が感じられる取り組みです。牧場は2021年4月から稼働し、おもに町と農協などが出資する法人が運営。搾乳ロボットを備え、経産牛や育成牛を飼養します。総務省の地域おこし協力隊からも3名が派遣されています。
【北海道・八雲町】「日本で唯一二つの海をもつ町」で産業を活性化し、働く人をつくる
担当者に訊く、八雲町の取り組みが成功したポイントとは?
八雲町の取り組みが、たくさんの企業の賛同を得たポイントは、「岩村克詔町長がとにかく積極的で、『行くぞ!』と自ら進んでトップセールスを行うなど、すべてトップダウンで取り組んだ結果」だと、八雲町政策推進課政策調整係の右門真治係長は明かします。
「最初の段階からすべてトップダウンなので、担当部署も動きやすくなります。普通、私が企業に伺った場合、お目にかかれるのは係長さんか課長さんですが、町長が伺うと直接社長さんにお会いできるのですから、スピード感が違う。もちろん結果も全然違います。企業版ふるさと納税は企業のブランドイメージ、PR効果に大きく関わる制度だけに、社長に直接交渉して決断していただくことが最善の方法といえます」。
「事業PRのパンフレットの使い方もポイントだと考えます。町長が各課長に、町に関わりのある企業リストをつくるよう指示し、それを基に、担当係がパンフレットをDMとして900通送りました。まず町を知ってもらう、町の取り組みを知ってもらうためのツールとして、PRパンフレットは有効でした」。
「最初の段階からすべてトップダウンなので、担当部署も動きやすくなります。普通、私が企業に伺った場合、お目にかかれるのは係長さんか課長さんですが、町長が伺うと直接社長さんにお会いできるのですから、スピード感が違う。もちろん結果も全然違います。企業版ふるさと納税は企業のブランドイメージ、PR効果に大きく関わる制度だけに、社長に直接交渉して決断していただくことが最善の方法といえます」。
「事業PRのパンフレットの使い方もポイントだと考えます。町長が各課長に、町に関わりのある企業リストをつくるよう指示し、それを基に、担当係がパンフレットをDMとして900通送りました。まず町を知ってもらう、町の取り組みを知ってもらうためのツールとして、PRパンフレットは有効でした」。
今やれることを、まずはすべてやってみる!
企業経営の経験を持つ岩村町長のようなダイナミックな動きは難しいとしても、企業版ふるさと納税を成功に導くポイントはあるのでしょうか。
「国が、企業版ふるさと納税の成功例として紹介している自治体の事例のなかに、関連がある企業すべてに、取り組みを紹介する資料を送ったというものがありました。当町が900通パンフレットを送ったのもこれを参考にしています。一方で、『そんなことをしたら、企業さんは迷惑じゃないか』という声が上がりました。あるいは『DMのようなことに経費をかけても良いのか』という意見もありました。しかし当町では、経費を10万円かけたから10万円の寄付をもらわなければならないという考えはしていません。重要なことは、企業版ふるさと納税の寄付を受けられるか否かにかかわらず、あらゆる試みが町をPRできる事業だと捉え、恐れることなく、積極的に取り組んでいくことだと思うのです。電話でもDMでも、寄付企業名が目立つ看板づくりにしても、やれることをすべてやってみることが、成功の鍵だと考えています」右門係長は、やさしいながらもはっきりとした口調で話してくれました。
「自治体にとって有益だと思えることはすべてやる。それが良いのだと思います」右門係長のことばは、きっと岩村町長の考えと同じなんだと感じました。
「国が、企業版ふるさと納税の成功例として紹介している自治体の事例のなかに、関連がある企業すべてに、取り組みを紹介する資料を送ったというものがありました。当町が900通パンフレットを送ったのもこれを参考にしています。一方で、『そんなことをしたら、企業さんは迷惑じゃないか』という声が上がりました。あるいは『DMのようなことに経費をかけても良いのか』という意見もありました。しかし当町では、経費を10万円かけたから10万円の寄付をもらわなければならないという考えはしていません。重要なことは、企業版ふるさと納税の寄付を受けられるか否かにかかわらず、あらゆる試みが町をPRできる事業だと捉え、恐れることなく、積極的に取り組んでいくことだと思うのです。電話でもDMでも、寄付企業名が目立つ看板づくりにしても、やれることをすべてやってみることが、成功の鍵だと考えています」右門係長は、やさしいながらもはっきりとした口調で話してくれました。
「自治体にとって有益だと思えることはすべてやる。それが良いのだと思います」右門係長のことばは、きっと岩村町長の考えと同じなんだと感じました。