【認定ファンドレイザー®が語る】企業版ふるさと納税は長期的視点をもって活用しよう
2022-09-07 08:00:00
育つ芽とSDGsイメージ図

2020年の税制改正により、企業版ふるさと納税を通じて自治体に寄付すると、最大で9割の税の軽減効果が受けられるようになりました。またふるさとコネクトなど、寄付のプラットフォームが整っていったことも追い風となって支援をする企業が増えたため、寄付件数、金額ともに増加傾向にあります。

寄付を1回して税の軽減効果を受けて終わりではなく、「これ」というプロジェクトについては長期的な視点をもち、継続したサポートをしてはいかがでしょうか。

今回は、企業版ふるさと納税を活用し、長期的な支援を行うことで生み出される価値・インパクトについてお伝えします。

未来に備える<災害大国・日本における被災地復興から学ぶ>

土砂崩れの様子
2011年の東日本大震災のあとも地震だけではなく、大規模な大雨、洪水、積雪などの自然災害が続いています。企業が事業を展開している自治体でも同じような災害が起きる可能性はゼロではありません。

被災地を支援することは、その地域の復旧・復興への応援につながるだけではありません。企業版ふるさと納税を機会としたご縁で、従業員をボランティアとして派遣するなど、自治体が取り組む復興に向けた動きを間近で見ることもできるかもしれません。

そこで得られた知見を活かし、自社の事業継続計画をより実にあったものにしたり、自社のある地域での防災・減災に向けた取り組みに対し先陣を切ったりすることもできるでしょう。

協働で未来を創る<SDGsやESGへの取り組み>

SDGsのイメージ
持続可能な社会の実現のための動きが、世界規模で取り組まれています。持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)への寄与だけではなくESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みが企業に求められています。

近年は子どもの貧困や教育の格差など、日本では様々な社会課題が深刻さを増しています。これらの課題の解決のために、自治体だけ、企業だけで推進することは困難です。

自治体の取り組みに継続して寄付をすることは、その課題解決への参画につながります。

また寄付をした事業を行う自治体はもちろん、事業に関係している地元のNPO、商工会議所、学校などの法人・個人とのコミュニケーションが促進され、パートナーシップが生まれることで、自社の事業へのアドバイスや、新しい事業を起こす際に力添えをいただけるなどのメリットも生まれます。

企業の未来を担う<人材育成・人材確保>

上を見る女性の様子
企業は利益を出し株主や従業員、そして社会に還元することが求められています。また近年は、社会課題の解決に関心をもつ若い世代が増えてきています。

企業版ふるさと納税を通じて寄付をすることで社会課題の解決に貢献することは、社員の仕事に対するモチベーションや企業への愛着につながる可能性があります。

またその自治体での事業にボランティアなどで直接参加したり、地元の人と対話をしたりすることが、ニーズ調査やそれに伴う商品開発、マーケティングにつながることもあるでしょう。

寄付をした自治体の事業の進捗報告を受けることで、地方経済活性化のヒントを得ることもできるかもしれません。

また学校などの支援をすることはその土地に生きる子どもたちの人材育成につながります。その子どもたちが将来、就職先として支援先の企業に関心を寄せることもあります。

そのためにも地元の人材育成の事業に対する寄付は単発ではなく、長期的視野をもって行ってはいかがでしょうか。

企業の信頼性向上に寄与<広報・PR>

企業版ふるさと納税の寄付企業を、自治体のウェブサイトや広報誌、プレスリリースなどで紹介されるケースが多くみられます。

これは企業の社会貢献への取り組みを広く知ってもらう機会になります。また自治体からの発信は信頼性も高いため、企業のイメージアップにつながります。

信頼性の高い露出だからこそ「今年もまたあの企業が支援をしている」と、取引先や顧客だけではなく、事業所などがある地域の方たちに認識してもらえます。

地域の人に末永く愛される企業という評価は、簡単に得られるものではない、貴重なものです。

まとめ

山頂のゴールのイメージ
「今期の税金対策に」と企業版ふるさと納税を取り入れた企業もあるかと思います。

しかし、長期的に企業版ふるさと納税を取り入れることで、事業の質向上、人材育成、人材確保、信頼の醸成と「企業の継続的発展」に大きく寄与していきます。

企業版ふるさと納税は、その自治体への支援に留まらず、自社の発展にもつながるのです。

ぜひ継続的な支援をご検討ください。
(認定ファンドレイザー® 鎌倉幸子)