【認定ファンドレイザー®が語る】新しい公共施設整備に寄付するということ
2022-08-05 08:00:00
建設現場の風景

公共施設と聞くと、どのような場所を思い浮かべるでしょうか。図書館、市民会館、体育館、公民館のほかに、公園や道路など、公共財として国・地方公共団体などから提供される施設全般を指します。

日本の公共施設は1970年代に建てられたものが多く、老朽化が進むなか更新時期を迎えています。図書館を図書館として建て直すケースもありますが、近年では図書館や市民会館、公民館の機能を兼ね備えた複合施設として整備する自治体が増えてきています。

今回は近年の新しい公共施設整備の傾向と、寄付をする意義についてまとめてみました。

公共施設設置の目的

公共施設がつくられる目的は何でしょうか。民間のホールを借りるとレンタル料がかなりかかる場合でも、市民会館などの公共施設を使うと費用が抑えられます。

そのため公共施設は「無料もしくは低価格で利用できる施設」と考える人が多くいます。

地方自治法第244条を見ると、公共施設(公の施設)は「住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設」と記されています。福祉とは幸せ、幸福のことで、広い意味では人々の幸福で安定した生活を公的に達成しようとすることを指します。

公共施設へ支援をするということは、その地域に暮らす人々の幸福や安定を支えることにつながるのです。
手をつないで走る家族の様子

住民参加の施設づくり

新しく公共施設が整備される際、そこで暮らす住民の生活のなかで抱えている課題やニーズを聞く機会をつくる傾向にあります。

その方法はウェブサイトや広報誌などでアナウンスをして参加を呼びかけて実施するワークショップや、地元で活躍をしている人に意見を聞く有識者ヒアリング、アンケートの実施など様々です。

コロナ禍の前でしたが、私が新しく整備される図書館、公民館などの複合施設の計画策定を支援していたとき、駅前や夏祭りの場所など人が集まる場所でアンケートを取ったことがあります。

実施された住民ワークショップなどの報告は、自治体のウェブサイトで公開される場合がありますので、ぜひチェックしてみてください。その自治体の住民のニーズや思いを知ることができます。
付箋をチェックしている様子

利用したくなる施設へ

公共施設は住民や通学・通勤でそのまちに来ている人なら利用できる施設ですが、「利用したくなる施設か」と問われたら、まだ改善の余地があるかもしれません。

新しい公共施設は、多様化する住民のニーズに応えるため、複合的なサービスを1カ所で提供する複合施設として整備されることが増えてきています。

また施設についての認知を高め、多くの人に利用してもらえるような取り組みが求められています。

平成11年(1999)より「公共施設等の建設、維持管理、運営等を行政と民間が連携して行うことにより、民間の創意工夫等を活用し、財政資金の効率的使用や行政の効率化」することを目的としPFI(Private Finance Initiative)やPPP(Public Private Partnership)という手法が導入されるようになりました。

ショッピングセンターの中にある図書館、ファーマーズマーケットやすてきなカフェが入っている複合施設など、民間と公共の融合が図られています。
笑い合う人たちの様子

その土地で暮らす人々の幸福や安定を支えるために

「利用したくなる施設づくり」のために、そのノウハウをもつ企業との連携を求めている自治体が増えています。

ふるさとコネクトでも寄付としての支援とともに、協働で事業を進めるパートナーを求める自治体もあります。施設整備の準備段階のプロセスにも参加していただき、そのまちの人々が抱える課題やニーズを把握することは、企業の商品やサービスの開発などのヒントになるかもしれません。

その土地で暮らす人々の幸福や安定を支えるために、ぜひ皆さんの寄付と知見をお寄せください。
(認定ファンドレイザー® 鎌倉幸子)