【認定ファンドレイザー®が語る】施設整備への支援がもたらすもの
2022-07-06 08:00:00
展示されたアート作品

日本の公共施設は1970年代に建てられたものが多く、40年以上経過したいま、老朽化が進んでいます。そのため、自治体により建て替えや統廃合による複合施設化、リノベーションが行われるなどの更新時期を迎えていますが、この時代、人口減少などにより財源は厳しい状態です。

企業版ふるさと納税を通じて公共施設を支援することで、得られる成果についてお伝えします。寄付がどのように役立つのかという疑問点の答えになれば幸いです。

公共施設が整備される

1970年代に建てられた公共施設の老朽化が進んでいます。また平成11年(1999)3月31日に3,232あった市町村が、2010年3月31日には1,727になるなど平成の大合併が行われたため、合併後の各市町村にあった施設全体の最適化を図る時期に来ています。

そもそも公共施設とは何を指すのでしょうか。小学館のデジタル大辞泉には「公共財として国・地方公共団体などから提供される施設。道路・公園・図書館・市民会館など」と定義されています。

道路は、生活やビジネスになくてはならないインフラです。また公園の有無は、子育て世代が住む場所を選ぶ基準となります。人々が集うまちづくりのために必要な施設といえます。
走っている子供達

ひとりひとりの居場所をつくる

図書館は「静かに本を読む場所」と思われがちですが、いまは「居場所」であり「未来をつくるための情報の拠点」として整備している自治体もあります。

2015年の夏休みが終わる前の8月、鎌倉市の図書館がSNSで「もうすぐ二学期。学校が始まるのが死ぬほどつらい子は、学校を休んで図書館へいらっしゃい。(中略)9月から学校へ行くくらいなら死んじゃおうと思ったら、逃げ場所に図書館も思い出してね」と書き込み大きな反響がありました。

この書き込みを見て、私は「公共施設である図書館はすべての人を受け入れること」「無料で利用できる施設であり、また施設内には図書館職員がいるので子どもたちも安心して時間を過ごせる場所」であることを再認識しました。

居場所であることは子どもたちだけに限りません。

また図書館にいる時間を活用して、本を読んだり調べものをしたりすることで、知識を深めたり、将来の選択肢を見つけることも可能となります。人を育てる拠点になりえます。

健康づくりの拠点

体育館などの運動施設は自治体にある学校の運動行事や部活動の大会などを支えています。また、住民が組織する野球や、フットサル、バレーボールなどのクラブの練習場としても使用されています。

また、公園を使ってウォーキングやランニング、ラジオ体操をしたり、近年はヨガをしたりと、住民の健康を支えています。

健康寿命を延ばすことは、高額な医療費による自治体の負担を減らします。また何より健康な人生を送ることは、住民の幸福度につながります。

先日、朝散歩をしていた時に、公園でラジオ体操をしている場面に遭遇しました。子どもからシニアまで参加しており、ラジオ体操が終わった後も立ち話が続き、お別れの挨拶をしながら皆さんが家に戻っていきました。このラジオ体操は世代を超えたコミュニケーションが生まれる場となっていました。

「顔が見える関係」は、まちの防犯などにもつながります。顔なじみの子どもが知らない大人と不安げに歩いていたらその異変に気がつくでしょう。またいつも参加するシニアの方が来ないことを心配して、連絡を入れたら家で倒れていたのが発見できたという話も聞きます。

「誰一人取り残さない」ためのアイデアが求められています

打ち合わせ風景
無料、もしくは低料金で利用できる公共施設は、そこで暮らすすべての住民が利用しやすい場所となっています。

それは「誰一人取り残さない」というSDGsの誓約にも直結します。

このような支援がもたらす効果が生まれるためにも、自治体は関心をもち寄付を届けてくれた企業から、魅力的な施設づくりのためのアドバイスを求めています。

新図書館の整備を進める大分県別府市は「企業の皆様には、ご寄付に加えて、公共団体の立場とはまた違った視点から、情報やアイデアをご提供いただきたいと考えています。具体的には、いろいろな人が集まる仕かけやその時々のトレンド、若者のニーズなどについて、アドバイスや情報の提供を想定しています」(https://furu-con.jp/projects/440/detail)とよびかけを行っています。

公共施設整備を通じて「誰一人取り残さない」まちづくり、学習支援、健康増進などの実現にぜひ皆さんの寄付と知見をお寄せください。

(認定ファンドレイザー® 鎌倉幸子)