【内閣府・経済産業省共催「企業版ふるさと納税マッチング会」レポートその2】企業版ふるさと納税制度とは
2022-06-03 08:00:00
ふるさと納税のイメージ図

2022年2月28日、内閣府・経済産業省の共催で「地方創生SDGsイベント 地域経済活性化プロジェクトの創出に向けた企業版ふるさと納税の活用について」(企業版ふるさと納税マッチング会)(略称:企業版ふるさと納税活用セミナー&マッチング会)が行われました。
このイベントでは、内閣府と経済産業省の共催のイベントとして実施され、地域産業の活性化などをテーマとして、20の地方公共団体が、企業版ふるさと納税を活用して進めていきたい取り組みについてのプレゼンテーションをしました。地方公共団体と企業のマッチングを促し、地方活性化につなげることを狙いとしています。

このイベントの冒頭で、内閣官房 デジタル田園都市国家構想実現会議事務局/内閣府 地方創生推進事務局 参事官補佐 塗師木(ぬしき)太一氏による、企業版ふるさと納税制度についての説明がありました。塗師木参事官補佐の言葉をお借りしながら、企業版ふるさと納税制度の仕組み、知っておきたいポイント、注意点などを紹介します。

※以下の画像は企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)についてより借用しました。

企業版ふるさと納税制度を活用し、官民連携して「地域経済の活性化」を実現

地域経済の活性化についての説明図
地域経済の活性化は、地方公共団体(行政)だけでは、ノウハウや人脈に限りがあり、なかなか実現できません。企業版ふるさと納税制度の趣旨は行政と企業が手を組み、「官民連携」して地域経済の活性化を進めていくというものです。

地方公共団体にとっては、単に寄付が受けられるだけではなく、企業とともに事業をつくっていったり、企業からアドバイスをもらい、民間のノウハウを生かして活性化を進めていったりすることが可能になります。地域に「お金や人材が不足している」といった課題がある場合、企業版ふるさと納税制度を利用することで、こうした課題を一挙に解決できます。また、地方公共団体が企業に対して地域の魅力や地方公共団体の取り組みをPRしていく「シティプロモーション」にもつながる良い機会にもなります。

企業にとってのポイントは、最大約9割の税の軽減効果が受けられること

企業版ふるさと納税の仕組みについての説明図
通常、企業が地方公共団体に寄付をすると、損金算入がなされるため、約3割の税の軽減効果がありますが、企業版ふるさと納税制度を使うと、さらに6割、最大約9割の税の軽減効果が受けられます。
例えば、企業が1000万円寄付をすると、最大約900万の法人関係税が軽減されます。

また、こうした税の軽減効果に加え「地域貢献をしている企業としてPRできること」「企業のCSRの推進になること」といったことも、メリットとして挙げられます。

企業版ふるさと納税制度は、地方公共団体が地域再生計画を作成し、内閣総理大臣の認定を受けることが前提です。すでに約7割以上の地方公共団体が認定済みで、企業版ふるさと納税制度が使える状況です。

東京23区などの不交付団体への寄付は対象外、また寄付企業に対して経済的な見返りは禁止

「寄付を行うことの代償として経済的な利益を供与すること」等に係るQ&Aの構成
留意点としては、地方交付税を受けていない不交付団体の東京23区などや、不交付団体で三大都市圏の既成市街地などに所在する市区町村や、企業の本社がある地方公共団体への寄付は対象外であることが挙げられます。
また、地方公共団体が寄付をした企業に対して、寄付の代償として経済的な見返りを提供することは禁止されています。ただし、地方公共団体の広報誌や公式ホームページに企業名を掲載すること、寄付金を充てて設立した施設などに銘板を設置し企業名を掲載するといった、広報PRは可能です。

経済的な利益の譲渡に関して、どういった場合に該当し、どういった場合に該当しないのかといったことは、内閣府ホームページのQ&Aで公表しておりますので、ご覧ください。

まち・ひと・しごと創生寄附活用事業に関するQ&A

企業からは「企業のPRにつながった」「企業の付加価値が上がった」という声が多数

企業版ふるさと納税の説明図
企業版ふるさと納税を利用して寄付をした企業からは、「企業のPRにつながった」という声が多くあります。

また、地方公共団体が「地方創生プロジェクトを応援している企業であること」「地域に貢献している企業であること」を地方公共団体の公式ホームページなどで発信したことで、「企業の付加価値が上がった」「地域貢献をしている企業としてイメージアップにつながった」という声もありました。

人材派遣型の企業版ふるさと納税がスタート。サテライトオフィスの整備の推進も

「内閣府企業版ふるさと納税ポータルサイト」の説明
寄付とセットで専門的な知識やノウハウをもつ企業の人材を地方公共団体に派遣し、地方公共団体で運用・活躍してもらうという制度「企業版ふるさと納税(人材派遣型)」もあります。また、内閣府では、企業版ふるさと納税制度を使ったサテライトオフィスの整備を推進しています。

企業から、どういった事業に寄付をしたらわからないといった声がありますが、「内閣府企業版ふるさと納税ポータルサイト」にアクセスすれば、現在、寄付を募集している事業の一覧を見ることができます。
また、内閣府では、2022年度は、6回ほど、企業と地方公共団体のマッチング会の開催を予定していますので、ぜひご参加ください。

企業版ふるさと納税制度を活用し、企業と地方公共団体でタッグを組み、地域経済の活性化につなげてみませんか。
(遠藤香織)

内閣府企業版ふるさと納税ポータルサイト