【内閣府・経済産業省共催「企業版ふるさと納税マッチング会」レポートその1】官民連携のきっかけに
2022-05-30 08:00:00
日本地図と電卓

2022年2月28日、内閣府・経済産業省の共催で「地方創生SDGsイベント 地域経済活性化プロジェクトの創出に向けた企業版ふるさと納税の活用について」(企業版ふるさと納税マッチング会)(略称:企業版ふるさと納税活用セミナー&マッチング会)がオンラインで行われました。

このイベントでは、地域産業の活性化やカーボンニュートラルなど注目度の高いプロジェクトを展開する20の地方公共団体が、企業版ふるさと納税を活用した取り組みについてプレゼンテーションをしました。プレゼン企業版ふるさと納税活用セミナー&マッチング会テーションの後は、企業と地方公共団体とが直接対話ができるセッションがあり、地方公共団体と企業のマッチングを促すきっかけとなりました。

また内閣府による制度概要説明や企業版ふるさと納税コンサルタントによる活用事例などの説明もあり、当日は、150前後の地方公共団体、108の企業が参加しました。

当記事では、このイベントの様子をレポートします。イベントには地方公共団体、企業ともに、参考になる情報がありました。

企業版ふるさと納税制度の狙いは「官民連携」による地域経済の活性化

企業版ふるさと納税の意義
国が認定した地方公共団体の地方創生事業に対し企業が寄付を行った場合に、最大で寄付額の9割が法人関係税から税額軽減される「企業版ふるさと納税制度」。イベント冒頭、経済産業省地域産業基盤整備課長・塩手能景氏により、企業版ふるさと納税制度の狙いについて語られました。企業は税額控除などのメリットを受けるだけでなく、新規事業開発など企業が展開するビジネスにつなげていくこと、地方公共団体はどのように官民連携し、抱える課題を解決していくかが重要です。この制度を活用し、両者が同じ課題解決に取り組み、「WIN-WIN」の関係を構築していくことがポイントとなります。

寄付先を選ぶのに迷ったら。テーマごとに寄付をする理由を考えてみる

テーマごとの寄付する理由
多岐にわたるプロジェクトから一つを選ぶのが難しいと考えている企業も多いはずです。そこで株式会社カルティブの企業版ふるさと納税コンサルタント・小坪拓也氏により、寄付企業が知っておきたい制度活用のポイントについての説明がありました。プロジェクトのテーマごとに、寄付する理由を考えてみることが大事だといいます。

例えば「カーボンニュートラル」を掲げている地方公共団体が数多くありますが、そういったプロジェクトへの寄付を通じ、自社として脱炭素プロジェクトへの参画を掲げることができます。また「ふるさとの後輩に、魅力的なまちを残したい」という思いから、出身地など縁がある地方公共団体に寄付をするケースもあります。

この制度は、地方と企業が深く連携することで、地方の魅力を高めることができる、とても意義深い制度です。人と雇用を地方に移す仕組みにもなり、人と人のコミュニケーションがどう生まれるかをこの制度をきっかけに検討してもらいたいと小坪氏は締めくくりました。

カーボンニュートラルなど多彩なテーマ。エネルギーの地産地消やらーめん予備校などユニークなものも

次に、10の地方公共団体が7分間ずつ、さらに10の地方公共団体が1分間ずつ、いま取り組んでいるプロジェクトを説明しました。いずれもテーマのジャンルが幅広く、注目度の高いものばかり。地球規模の課題として解決に向けて世界各国で取り組みが進められているカーボンニュートラルや再生可能エネルギーをテーマとしたプロジェクトや、茨城県かすみがうら市のワーケーション実証プロジェクト、大阪府四條畷市の自動運転を起点としたまちづくりなど、日本の未来につながるプロジェクトもありました。

また、栃木県佐野市による佐野らーめん予備校プロジェクトや、岩手県住田町の仕事・学びの場創出事業(コワーキングスペース整備)など、地域の観光資源や施設に独自のアイデアを加え、発展・活用するユニークなものもありました。

自社の社会貢献活動を、行政と一緒にPRするチャンス

その後、オンラインで、地方公共団体と企業とが、直接対話ができる「コミュニケーションタイム」が開催されました。

イベント後のアンケートでは「地方公共団体のプレゼンテーションのレベルが高く、おもしろかった」「地方公共団体の本気度が伝わった」といった感想が寄せられました。サイトや資料だけでは、感じ取れない、地方公共団体のプロジェクトへの思いを感じ取った企業・団体が多くあったようです。

企業にとっては、税の軽減効果を得ながら、社会貢献活動を、地方自治体とともにPRするチャンス。今回のようなイベントは、今年度、年6回程度開催する予定とのことです。ぜひ、イベント参加を通じて、寄付先を見つけ、地方公共団体と連携するきっかけをつかんでみてはいかがでしょうか。
(遠藤香織)